内容説明
ポリヴェーガル理論の解説書、初の邦訳!ポリヴェーガル理論(多重迷走神経理論:poly=多重の、vagal=迷走神経)は、哺乳類、特に人類の自律神経系の進化を社会行動に結びつけ、問題行動や精神障害の発現における生理学的状態の重要性を強調する画期的な発見。従来の自律神経系は「交感神経」と「副交感神経」の二つと長年考えられてきたが、本理論では哺乳類の「副交感神経」にはさらに二つの神経枝(「背側迷走神経複合体」と「腹側迷走神経複合体」)があると提唱、トラウマやPTSD、発達障害などの発現メカニズムとの関連を示し、治療への新しいアプローチを拓く。「安全である」と感じることが社会行動、生理学的状態に及ぼす影響とは。医学、心理学、生理学、脳神経学などの常識を覆す画期的理論。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
わん子
20
トラウマ治療、自閉症や発達障害の社会適応に役立つ理論を、いくつかのインタビューを通して紹介。別のイベントで聞いた、発達障害はKYでなくむしろ逆、空気読みすぎていつもヘトヘトという話と併せると、逃走/闘争反応(可動化としての落ち着きのなさ、話しかけても無反応)も納得がいく。中耳筋の緊張による聴覚過敏(低周波の雑音に悩まされ人の声が聞き取りにくい)を和らげ静かな環境の提供で改善が見込まれる。トラウマ反応を悪として捉えずまともな反応をしたと自分を褒めるよう促す。精神を病む人を励まし並走する優れた神経生理学理論。2024/03/17
木麻黄
12
入門編にしてこれほど既成の概念を揺さぶる力があるのですから、本当に度肝を抜かれます。特に自閉症者の感覚を説明する件は、これまで説かれたどの理論よりも具体的であるが故に、とてもわかりやすかったです。トラウマセラピーの臨床家達が、一早く治療論に結び付けたのもむべなるかなです。怒りっぽい人、自称コミュ障の人、孤独な人…には、是非一読を勧めたいです。社会的交流に苦手意識を持つ人程、この理論の理解が速いでしょう。ほ乳類であることの特性から、いかに神経基盤が整理されてきたかが、驚くべき展開をもって語られます。2019/04/24
木麻黄
10
満を持しての二読目です。この間、類書と自律神経系、免疫系の基本書にも目を通しました。前回は、このとんでもない知見に度肝を抜かれて終わってしまいましたが、今回は用語解説も含めて精読し、理解できたところ、知識として足りていないところが、ある程度整理できたように思います。今世紀は間違いなく、トラウマ探求の世紀となり、トラウマをどう乗り越えるのかという観点で、人類の英知が試されるのではないでしょうか。公衆衛生は、感染症の統御のみにとどまらず、トラウマの社会伝播、世代間伝播にも目が向けられるべきだと思います。2020/05/14
たらこ
8
とうとう読んだ。身体が生き延びようとした、というメッセージは、確かにクライエントに入るかもしれない。もう少し勉強しよう。2021/03/08
ひろか
8
待望の一冊。対談形式となっていて、読みやすいが、内容は重複が多いかな2018/11/25