内容説明
ミスを無くすためだけではない校閲。本に似合った衣装を着せる装幀。紙を本にする製本。本の声ともいえる書体。もちろん紙がなければ本はできない。そういった「本づくり」の舞台裏を私たちはあまり知らない。本を支えるプロフェッショナルの仕事に対する熱い想いを届けるために、彼らの言葉を聞きにいく。読めばきっと、見方がぐっと変わり、本が愛おしくなる情熱のノンフィクション。形のある本を愛するすべての人へ。
目次
はじめに
第一章 活字は本の声である
見出しは大声、本文は静かな声
和文活字の二大潮流のひとつ
職人の世界への憧れ
忘れさられた書体
現代にいかにして甦らせるか
平成の大改刻プロジェクト発足
魅力ある活字にするために
一〇〇年後に向かって
第二章 ドイツで学んだ製本の技
数少ない製本マイスター
火花が散る光景
一人前の職人になるために
機械化の波が風景を変える
大学に行くか、西ドイツに行くか
国は違えど同じ本をつくる仕事
一度覚えた技術は忘れない
自分のために製本する文化
第三章 六畳の活版印刷屋
文字のかたちがそこにある
活版印刷人の経歴
中学生、活字を彫る
電算写植にふれる
一期一会の道具たち
文字を読まずに活字を拾う
活版印刷の職人たち
腕一本で生きるということ
いま活版で刷るということ
第四章 校閲はゲラで語る
第三者の鋭い目
人と付き合わない孤独な作業
ゲラを通して著者と対話
文学の熱気あふれる出版社へ
校閲に重きを置く社風
文学で身を立てる
思考の流れを感じる生原稿
第五章 すべての本は紙だった
工業製品としての本
東北で造られてきた書籍用紙
工場が吐く息
書籍用紙の革命
製品としての紙をつくる難しさ
抄紙機に流れる中性紙
中川工場の思い出
色違いを起こさない職人の技
よい紙とは何か
技術の力が過去を乗り越える
第六章 装幀は細部に宿る
細やかな遊び心がある「漱石本」
あるべき場所にあるべきものがある
画家を目指した少年時代
はじめての本のデザイン
本が旦那、装幀家は芸者
デザインはどこでもできる
手元に置きたくなる本を
平野さんから引き継ぐ記憶
時代によって押し出されるもの
「美しい本」への憧憬
第七章 海外の本の架け橋
別の言語で出版してほしい
海外と日本の違い
編集者とエージェントとのセッション
戦後すぐにタトルがはじまる
トム・モリの存在感
作品に対する圧倒的な嗅覚
新たな架け橋
第八章 子供の本を大人が書く
子供への物語を書き続ける
「自分の本」との出会い方
「読書」と「聞き書」
自分の都合でキャラクターを変えない
次のページには何がある
空想から本を読むことへ
『魔女の宅急便』と同じ気持ち
物語を書くという魔法
あとがき
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佐島楓
バイクやろうpart2
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