内容説明
脚本家・唐沢燿子は古稀をむかえ、日に日に「老い」を感じていた。しかしSNSで年下の男と出会い、生活が一変する。70歳から始まった、身も心も溺れた恋の行方は……。大人の恋愛小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
534
直截なタイトル。性愛小説は好物なわたしだが、70代の女性が主人公、しかもお相手が15歳年下、というのは覚えがない。15歳年下で思い出すのが森瑤子さんの『ダブルコンチェルト』だが、あちらはまだ45歳だった。流行りのSNSで知り合ったふたりという設定のせいか、主人公の気持ちの推移にもう少し深みが欲しかったところ。表紙画の彼女の垂れた胸に現実を感じる。実際、70を過ぎて15歳年下の男の関心を惹きつけられる女性が一体いかほどいるのか。作中あるように「若くて可愛い」至上主義の蔓延る日本では難しいだろう。2021/04/24
ショースケ
193
新聞で紹介されていて、作者の本業は映画監督らしいが、文章がとても小気味いい。幸せな結婚生活を送っている娘を持つバツイチの燿子は70歳。バリバリの脚本家だったが、60歳を境に仕事が減った。ある時ファンだという15歳年下の男からFBを通じて連絡が来る。訝しがりながらもやり取りをする燿子。いつまでも女性であり続けることを知り初めて性の悦びを知る。あからさまな性描写には驚いたが嫌な感じはなかった。2人はこのまま続くと思われたが…。凛とした自分を持っている燿子。私がこの歳になったらこんな激しい恋ができるだろうか。2021/10/28
bunmei
185
人生百歳時代と言われる現代。恋愛小説も古希を迎えた女性を主人公に描くというのは、いかにも現代的で、恋愛観と性描写もリアルに描いている。脚本家の燿子の元にFBを通して届いた、年下の男からの熱いメッセージ。それを機に忘れていた女としての疼きを覚えていく。歳を重ねて警戒心や躊躇いにより、心のブレーキをかけながらも、やはり人は、幾つになっても、ときめきを追い求めてしまう生き物。ある意味、老いと共に縛られない自由が生まれ、若き日の様な身体を貪り合う恋愛ではなく、互いの心を慈しみ合える恋愛が成り立つのかもしれない。 2021/09/03
おしゃべりメガネ
176
う〜ん、なんとレビューを書けばいいのやらと久しぶりに悩む作品にあたりました。古希を迎えた脚本家「燿子」はSNSで15歳下の「蓮」と出会い、戸惑いながらも恋に落ちていきます。タイトルからして、なかなかのインパクトですが中身もタイトルに恥じない、濃厚な作品でした。70歳過ぎての性愛をこれだけ真っ正面からとらえて綴るのも、すごいコトだなと。共感する、しない、できる、できないは読む側次第なんだろうなぁと思います。賛否両論あろうかと思いますが、女性読者には手にとってもらいたい一冊ですね。色々と考えさせられました。2021/04/25
じいじ
141
何が凄いってこの小説、70歳を過ぎた女性を主人公にして、性愛を真摯に真っ正面からとらえて、直球を投じているところだ。もちろん淫靡さを感じないし、男性が読めば女性への理解が深まると確信します。シングルマザーで一人娘を嫁に出し、人は生まれる時も死ぬ時も一人、だから今を「自由に大切に生きたい」と、第二の人生に挑む主人公の生き方に胸を打たれた。エンディングのまとめ方の筆力は、恋愛小説初挑戦と思えない出来栄えです。面白かった。2021/04/06