日本経済思想史 - 江戸から昭和

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日本経済思想史 - 江戸から昭和

  • ISBN:9784326504138

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内容説明

本書の第一部は、三世紀半における日本経済思想史の通観である。ここには、日本経済思想史における言わば定番の人物が取り上げられている一方、時代劇でおなじみの「名奉行」や聞いたこともないような起業家も登場する。第二部では、日本の経済思想史は日本の外側からはどのように見られてきたかが明らかにされている。

目次

はしがき

第一部
第1章 経済思想史とは
 一 思想
   思想の三角形◆観念◆判断・価値基準・基軸的価値◆行動◆創造◆理論化と政策化
 二 日本
 三 歴史
 四 経済と経済史
 五 経済思想と経済思想史
 六 経済学史
 七 経済思想を理解する方法
   行動◆言葉◆思想の分析的理解◆企業者・政策者・知識人

第2章 身分制社会の成立
 一 元和偃武
 二 農工商

第3章 泰平の世の武士
 一 兵学と儒学
 二 山鹿素行の自問自答
 三 経世済民

第4章 脱市場の経世済民論
 一 町の繁盛、武士の借銀
 二 熊沢蕃山
   修学と政治体験◆道◆道徳的退廃◆経済的困窮◆政治の実効性◆状況への対応◆
   道徳的改革の遷延◆経済と道徳◆武士土着◆陽明学と朱子学

第5章 将軍権力による脱市場
 一 徂徠豆腐と赤穂事件
 二 朱子学の否定
 三 人工物としての道
 四 為政者
 五 現状認識
 六 武士土着
 七 公儀と大名
 八 物価と貨幣

第6章 経世論の曲がり角
 一 孤高の太宰春台
 二 争競ノ心
 三 聖人の道
 四 老子ノ無為
 五 現状認識
 六 国を富す術

第7章 将軍徳川吉宗と実務派官僚
 一 財政難と貨幣改鋳
 二 享保改革
   年貢の増徴◆貨幣の良鋳◆享保期の物価問題◆元文の貨幣改鋳◆
   吉宗の不満◆年貢の金納化

第8章 百姓・町人の自己認識・自己主張
 一 社会的有用性
 二 勤労の倫理
   宮崎安貞◆西川如見◆石田梅岩

第9章 田沼政治と多様化する思想界
 一 田沼意次
   賄賂政治家?◆財政難への対応◆貨幣政策
 二 一八世紀後半期の思想界

第10章 市道と国益
 一 海保青陵
   経営コンサルタント◆市道◆大名の借金◆財政再建策◆徂徠学の末裔
 二 国益
   武家財政と国益◆三浦梅園の国益

第11章 日本と国学
 一 中華から支那へ
 二 日本の上昇
 三 本居宣長
   国学◆人と神◆大政委任◆現実政治◆経済思想史における本居宣長

第12章 職分と遊民
 一 職分
 二 宵越しの銭

第13章 生活の持続
 一 江戸時代の経済成長率
 二 ほどほどの倹約
 三 利用厚生正徳

第14章 一九世紀における世界像の転換
 一 国内の経済構造と地域表象
 二 日本における西洋像の展開
 三 一九世紀における国際環境の変化と世界像の転換

第15章 「鎖国」論と「開国」論
 一 「鎖国」論
 二 本多利明の「開国」論
 三 横井小楠の「開国」論

第16章 東アジアと西洋の人間観・社会観
 一 近世日本と近代日本の連続・非連続
 二 東アジアの人間観・社会観
 三 西洋の人間観・社会観
 四 古典派経済学
 五 日本における西洋経済学の受容

第17章 「明治啓蒙」の知識人
 一 福沢諭吉
 二 高田早苗

第18章 明治政府の殖産興業政策
 一 政府紙幣
 二 国際金本位制
 三 新貨条例と国立銀行
 四 政府政官の誘導奨励
 五 国家による起業
 六 銀本位制と日本銀行

第19章 産業・貿易構想
 一 田口卯吉
   人の「天性」と社会の「進歩」◆政府の「干渉保護」と社会の秩序◆
   「経済世界」における「大理」と「無為」の「治道」
 二 犬養 毅
ほか

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

KAZOO

116
これは比較的珍しい本であると思います。日本経済史の本ではいくつかあるし、経済思想史も世界のレベルではいくつかありますがそれが日本の江戸時代から昭和の戦前までを俯瞰しているということであまり見かけない資料だと感じました。最後に戦後も若干触れられています。私も以前少しだけ研究したことがあり、熊沢蕃山や荻生徂徠などのほかに海保青陵などについても少しかじりました。この本では結構原点からの引用が多く参考になります。2016/04/03

壱萬弐仟縁

30
思想研究の難しさは、分析対象の思想が摑み所のないところに由来(3頁)。社会に実在する事物は誰かの脳内で創造された観念(7頁)。人と社会と自然が存在するのは、ある特定の時間と空間の交点で。歴史は時空間で生起した諸現象の継起したもの(11頁)。経済思想史:特定の時空間における限定性・固体性を帯びた個々の経済思想と、思想の史的変化の過程を、分析的に理解する学問(14頁)。荻生徂徠は毎日のように豆腐屋から雪花菜(おから)をもらっており、恩を終世忘れなかったという(47頁)。2016/02/22

ヒナコ

10
本書を図書館で偶然見つけて借りてみたら、ぐっと引き込まれて一気読みしてしまった。 荻生徂徠、徳川吉宗や大岡忠相、田沼意次という江戸の経済思想から、田口卯吉、犬養毅、渋沢栄一、中江兆民、徳田福三などの維新後の経済思想まで、日本の近世から近代にかけての経済思想(戦後の経済思想は割愛されているので、そこが知りたい人には参考にならないかも……)が幅広く紹介されていて、大変おもしろかった。→ 2021/08/06

ステビア

8
教科書。たいへんわかりよかった。2016/01/09

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