内容説明
怒り・悲しみ・憎しみ・恐れ……どんなネガティブな感情も、丁寧に解きほぐすと、その根源に「愛」が見いだせる。不安で包まれているように思える世界も、理性の光を通して見ると、「善」が満ちあふれている。中世哲学の最高峰『神学大全』を、教師と学生の対話形式でわかりやすく読み解き、自他を肯定して生きる道を示す。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
trazom
109
哲学や思想を、原典(日本語訳でいい)を読まずに解説書で理解しようとするのは忌むべき行為である。でも、流石に「神学大全」45巻を完読するだけの教養と精神力が私にはない。神論・人間論・キリスト論の三部からなる神学大全の、第二部にある「感情論」だけを取り出している本書はユニークだ。学生と哲学者の問答形式という構成が成功していて、愛・善・徳など「肯定の哲学」の要諦となる考え方が非常によく理解できる。ただ、トマスが主張する「感情には明確な論理がある」という前提に馴染むことができずに、苦悶しながら読む一冊でもあった。2021/10/30
ばんだねいっぺい
25
物質を要素復元するように、哲学も善について、愛について、つぶさに仕分けしていくことで人の心の働きを観察してゆく。タイトルがいい。ポジティブな物の見方というが、それは、まわりにある善を見つけることなのだと思った。2024/02/25
Mc6ρ助
15
トマス・アクィナスの哲学をわかりやすく説明してくれる良書。『「震災による大混乱のなかで、恐れと絶望の日々を過ごしている」という漠然とした仕方で事態を捉えている人も、「恐れ」は「差し迫った未来の困難な悪」を対象とし、「絶望」は「未来の困難な善」を対象としているというように区別して捉え直すことによって、かき乱されている心がする恐れによって身動きがとれなくなってしまうというようなことはないですよね。(p42)』コロナの緊急事態宣言、他国にできた合理的なコロナ対策「未来の困難な善」が日本でなし得ないことへの絶望。2021/05/14
まゆまゆ
13
トマス・アクィナスの神学大全のエッセンスを講義形式で解説していく内容。あらゆる感情の根底、根源には「愛」という感情がある。愛は外部の魅力的なものから心を振り動かされることによって生まれる。欲望も恐怖も、元をたどれば愛に行きつく。何らかのものに対して愛を抱くこと自体に、すでにある程度の喜びが含まれている。2021/07/01
キヌギヌ
11
課題図書のようなものなので読む。まず文章がやたらうまい。頭の良い人の書く文である。論理的で読みやすい。内容もかなり平易で哲学書とは思えないほどだ。トマスの思想や哲学については全く予備知識が無かったのだがスラスラと読めた。「憎しみ」の中にも「愛」があると考えることはなるほど、確かに救いになったように思う。対話中の「学生」のように神学には胡散臭い印象を抱いていたが、神学大全のにはこんなにも人生を豊かにする哲学が含まれているのだなあと驚いた。本書は東大の哲学の教科書となっているのでそれを体験したい人にもお勧め。2022/01/26
-
- 電子書籍
- 墓守聖女が結婚を決めたわけ 3話「二つ…
-
- 電子書籍
- 少将は今日も奥様に振り回される【タテヨ…
-
- 電子書籍
- 少将は今日も奥様に振り回される【タテヨ…
-
- 電子書籍
- 皇后偽木綿【タテヨミ】第43話 pic…
-
- 電子書籍
- リビルドワールド 8 電撃コミックスN…