新・資本主義論:「見捨てない社会」を取り戻すために

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新・資本主義論:「見捨てない社会」を取り戻すために

  • ISBN:9784560097878

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内容説明

分断と対立を克服するための処方箋

各国の社会は今、ナショナリズムやマルクス主義といった古びたイデオロギーやポピュリズムに流される低所得・低学歴層と、グローバル化する世界で利益を追求して豊かな暮らしを謳歌する高学歴エリート層とに分裂し、対立している―。そんな溝を埋め、資本主義をふたたび多くの人びとに豊かさと希望をもたらすものへと軌道修正していくにはどうすればよいのか。著者は、資本主義が本来もっていた責任感と義務感に基づく「助け合いの精神」の復興を説く。そして、そのためにはデジタル化の進展で希薄になり、価値観の相異から内部に対立さえ抱えるようになった国家や地域社会といったコミュニティの住人としての、アイデンティティーの回復が重要だと指摘する。
開発経済学の分野を牽引してきた第一人者ならではの深い洞察をベースに、かつて鉄鋼業で栄えながら深刻な状況に陥って回復の途上にある英国シェフィールドの労働者の家庭に育った個人的な体験も交じえながら、資本主義の倫理的・道徳的側面に着想を得た方策の数々を平易な言葉で述べる。グローバル社会を生きるあらゆる世代に向けて、未来への指針を具体的に提示した野心作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

壱萬弐仟縁

33
2018年初出。何よりも重要なことは、相互的な責任関係を結ぶことで、それこそが共同体(コミュニティ)の本質だということ(032頁)。コリアーの分析では、人間を経済人ではなく社会人(ソーシャル・マン)として見るほうがふさわしいという(045頁)。すぐさまラスキンの全人(ホール・マン)を私は想起した。新たな権利は新たな責務とペアになっている。権利には必ず義務が伴うが、義務は必ずしも権利を伴わない(071頁)。競争の敵は既得権益だ。利権というものは広範な戦略を用いて競争の阻害要因をつくり上げる(128-9頁)。2021/01/14

takao

2
ふむ2021/01/14

chiro

1
資本主義が見直される必要を民主主義との政治的な側面、つまり格差の促進をいかにして止めるかという問題から主張されることが増えている。グローバル化とデジタル化はともの偏在と国家の衰亡を進めている。こうした中で著者は右派・左派といった極を論じる事でのポピュリスティックな方向性への危険性から現実を正しくとらえるプラグマティックな方向性を進める中道的なあり方に戻るべきと主張している。今の世界を見回した時にグローバル化とデジタル化の潮流が減衰することはあり得ずそうした側面からも納得できる主張と感じた。2021/10/14

YN

1
資本主義は1945-1970に持っていた倫理観を忘れたのではないか、諸々アップデートしつつも、根本的なベースとしてはあの頃に戻る方がよいのではないか、と言う本。 社会が益々フラグメント化する中にあって、ひとつの理想として皆がある程度納得できる中道を説く。2021/02/22

アシモ

0
結局良心的で常識的な人間観がまともな社会を作るという理解。具体的方策として都市の成功者への課税。貧困国への技術や企業の移転も言っている。ポピュリストのインチキに騙されないようにしたい。2023/04/09

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