内容説明
チンパンジーが選んだ「リンゴ」を示す記号は、ヒトの言葉の「リンゴ」と同じといえるのだろうか。心の理論の提唱と同時期に「類人猿の言語プロジェクト」の中でも異彩を放ったプレマックは、緻密な思考に基づいた行動実験から「言語」と「こころ」の関係を明晰に腑分けした。言語、心理、コミュニケーション研究者必読の名著。
目次
謝辞
序章
1 イルカの救いかた
自己について記述することと他者について記述すること
サラ─同義性、関係クラス、概念規則
会話と「単なる文のつくりっこ」との混同
言語と転移
データの第一ラウンド
第二ラウンド
2 学習、ハードウェア、認知
学習とハードウェア
クレオール化
規則、慣習、科学法則─課題特異性と種特異性
認知 VS. ハードウェア
学習 VS. ハードウェア
認知と学習
ハードウェアのシミュレーションについて
3 語とはなにか?
生成と理解
語の外的機能─情報検索
チンパンジーの心に保持されているものは?
語の使用を語の意味と混同しないことについて
非直示的に語を教える
負の範例の重要性
「ギャバガイ」とプラスチック語
問いただすこと─言語的・非言語的に
問いただせないケース
クラスの包摂と関数解析
4 言語が抱える非言語的要素への依存性
時間的順序
情動と語
5 言語のミッシング・リンク
再帰性
類人猿からヒトの子どもへ?
訳者解説─「動物のことば」の先にあるわたしたちのこころ
付録
参考文献
人名索引