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内容説明
スポーツか、アートか――。
フィギュアスケート、新体操、アーティスティックスイミング、ダンススポーツなど、スポーツとアートの重複領域についての初の論考。〈アーティスティックスポーツ〉という身体運動文化を、経営・経済学、法学、社会学、芸術学などを横断して探究する。新進気鋭の若手研究者がスポーツ科学に新たな沃野を拓く画期的な著作。
本書は全六部構成となっており、その中でアーティスティックスポーツをめぐる「美学論(第Ⅰ部)」、「著作権論(第Ⅱ部)」、「作品批評論(第Ⅲ部)」、「市場経済論(第Ⅳ部)」、「産業論(第Ⅴ部)」、「アーカイブ論(第Ⅵ部)」が次々に展開される。これから先の時代、アーティスティックスポーツの文化はいかにあるべきか――スポーツとアートが汽水域のように交じり合う身体運動文化を永続的に存続させるための創造と享受のあり方について、学際的観点から徹底的に考察していく。スポーツ科学の学術界はもとより、アーティスティックスポーツに関わるすべての人々にとって必読の書となるだろう。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
171
氷上の哲学者と称されたフィギュアスケーターから学者に華麗なる転身をした町田 樹の博士論文的な著作を読みました。アーティスティックスポーツの競技者としてASの本質を理解しているだけあり、非常に興味深い内容でした。但し、かなり学術的に真面目な内容なので、フィギュアスケートかつ町田 樹ファン以外にはオススメしません。町田 樹は、次のスポーツ庁長官になるかも知れません。 https://book.asahi.com/article/136168432020/10/11
ぐうぐう
27
ずばり野心的な論文である。大胆かつ挑発的な試みでありながらも(いや、だからこそ)町田樹は慌てず丁寧に言葉を選びながら、慎重に論を運んでいく。冒頭、いきなり本論に入るのではなく、フィギュアスケート とは関係のない「汽水域」という言葉の説明から始めるのが、町田のその姿勢を表している。本来入り混じることのない川と海の環境が邂逅する水域である汽水域は、スポーツかアートかを問われるフィギュアスケート をはじめとするアーティスティックスポーツ(AS)を理解する上で、とてもわかりやすい。(つづく)2020/09/15
かりん
6
5:《スポーツであり、アートである。》五輪後に予定していた書籍がなくなり、実演家としての記録を制作陣の名で出していることから、「本人名義の書籍は学術書として出したいのだろう」と推測していました。思いのほか早くに手に取ることができ嬉しい。ASについての様々な切り口からの分析は、実演家時代からのファンだからという点を除いても単純に興味深い。とりわけ、前方リンケージ・後方リンケージの区分がわかりやすく参考になった。リッポンの「牧神の午後」の分析、日本のスケートリンクの現状、統括組織の話も読み応えがあった。A2020/08/09
すいか
2
運動能力と技術の高さだけではなく芸術性も求められるスポーツを「アーティスティックスポーツ」と定義し、美学、法学、経済学、経営学などあらゆる面からのアプローチを試みる。知的冒険としても興味深く読んだが、著者自らが競技者実演家であったフィギュアスケートへの愛着とその振興を願う想いが常に根底にあるのが感動的。アーティスティックスポーツ鑑賞の手引きともなる1冊。2020/08/13
みかん
1
わたしが色々な文脈を巻き込んでスケートのプログラムを批評する試みは間違ってないこと、むしろそれは一定以上の鑑賞能力があってはじめて可能になること、プログラムを「作品」として保存するために必要であることをこの本から学べた いや綿密なリサーチの姿勢とかを学ぶべきであって「町田さんに肯定された」とキャッキャするのはおかしいかもしれないが PCSについて語りたいオタクはみんな読んだ方がいい2022/01/02