竹書房文庫<br> シオンズ・フィクション イスラエルSF傑作選

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竹書房文庫
シオンズ・フィクション イスラエルSF傑作選

  • ISBN:9784801924109

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内容説明

イスラエルと聞いて、あなたは何を思い浮かべるだろうか。
驚くなかれ、「イスラエルという国家は、本質的にサイエンス・フィクションの国」(「イスラエルSFの歴史について」)なのだ。
豊穣なるイスラエルSFの世界へようこそ。

エルサレムを死神が闊歩(かっぽ)したり(「エルサレムの死神」)、
進化した巨大ネズミに大学生とぽんこつロボットが挑んだり(「シュテルン=ゲルラッハのネズミ)、
テルアビブではUFOが降りてきてロバが話し出すこともある(「ろくでもない秋」)。
あなたは、天の光が消えた空を見つめる少年(「星々の狩人」)や
悩めるテレパス(「完璧な娘」)とも出逢うだろう。
アレキサンドリア図書館(「アレキサンドリアを焼く」)に足を踏み入れ、
無慈悲な神によって支配されている世界を覗くだろう(「信心者たち」)。

未知なる星々のまばゆいばかりの輝きをあなたは目にする。
その光はあなたの心を捉えて放さないはずだ――。
ロバート・シルヴァーバーグによる序文、編者によるイスラエルSFの歴史をも含む、知られざるイスラエルSFの世界を一望の中に収める傑作集。

【収録内容一覧】
まえがき ロバート・シルヴァーバーグ
「オレンジ畑の香り」(“The Smell of Orange Groves”)ラヴィ・ティドハー/小川隆 訳
「スロー族」(“The Slows”)ガイル・ハエヴェン/山田順子 訳
「アレキサンドリアを焼く」(“Burn Alexandria”)ケレン・ランズマン/山田順子 訳
「完璧な娘」(“The Perfect Girl”)ガイ・ハソン/中村融 訳
「星々の狩人」(“Hunter of Star”)ナヴァ・セメル/市田泉 訳
「信心者たち」(“The Believers”)ニル・ヤニヴ/山岸真 訳
「可能性世界」(“Possibilities”)エヤル・テレル/山岸真 訳
「鏡」(“In the Mirror”)ロテム・バルヒン/安野玲 訳
「シュテルン=ゲルラッハのネズミ」(“The Stern-Gerlach Mice”)モルデハイ・サソン/中村融 訳
「夜の似合う場所」(“A Good Place for the Night”)サヴィヨン・リーブレヒト/安野玲 訳
「エルサレムの死神」(“Death in Jerusalem”)エレナ・ゴメル/市田泉 訳
「白いカーテン」(“White Curtain”)ペサハ(パヴェル)・エマヌエル/山岸 真 訳
「男の夢」(“A Man’s Dream”)ヤエル・フルマン/市田泉 訳
「二分早く」(“Two Minutes Too Early”)グル・ショムロン/山岸真 訳
「ろくでもない秋」(“My Crappy Autumn”)ニタイ・ペレツ/植草昌実 訳
「立ち去らなくては」(“They Had to Move”)シモン・アダフ/植草昌実 訳
イスラエルSFの歴史 シェルドン・テイテルバウム&エマヌエル・ロテム

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

yutaro13

44
イスラエルSF傑作選。少し前にイラク小説を読んだので次はこれかなと。訳者あとがきにもあるように、ケン・リュウ編『折りたたみ北京』のイスラエル版のような感じ。16作品+解説で文庫700ページとなかなかのボリューム。中にはとっつきにくい世界観の作品もあるけれど、「完璧な娘」「シュテルン=ゲルラッハのネズミ」「夜の似合う場所」「男の夢」「二分早く」あたりは印象的。国家の建国自体がフィクションみたいな国のくせに(だからこそ)、長らく政治的理由でSF・ファンタジーが抑圧されていたことを解説で知る。2021/02/14

Shun

31
最近は中国発の良質なミステリやSF作品の邦訳が増えてきましたが、世界に目を向ければまだ邦訳が開拓途上のジャンルがあると気付かされます。そして本作はイスラエル発のSF作品を収蔵した珠玉の作品集と言える内容で、小説に扱われるSFのアイデアはどれも創造力豊かに、それでいてイスラエルという国家やこの土地ならではのオリジナリティに溢れた作品ばかり、それが16作品も収められているので値段以上に買って良かったという思いが残りました。さらに本作のようなテーマで来年刊行予定のギリシャSF傑作選「ノヴァ・ヘラス」も要注目。2020/11/15

くくのみ

23
イスラエルの16篇のアンソロジーSF短編集。イスラエルだからと言って、理解できないものや専門的なものはなく、国柄を知らなくても楽しむことができた。特に「完璧な娘」が面白かった。テレパスの学校に通うようになったアレグザンドラが死体のステファニーの記憶を辿るにつれ、ステファニーの感情と同化していく。そうやって、掘り下げていくことで悟る。「なにが残るにしろ、それが自分、本当の自分なのだ」と。その他、「アレキサンドリアを焼く」「鏡」の展開は面白いし、「男の夢」のムナクソ展開と入り組んだ物語は難しくて読めなかった。2021/04/21

ひさか

22
2018年9月米国で刊行されたZion's Fictionを訳し下ろして、2020年10月竹書房文庫刊。16の短編小説と1編のエッセイによるアンソロジー。「アレキサンドリアを焼く」「完璧な娘」のアイデア、世界観が面白い。「男の夢」、「二分早く」は、気の利いた楽しいショートショート。イスラエルSFといっても、特殊なものではないなと思いました。2020/12/24

緋莢

22
中国SFは、アンソロジーを含め何冊か読みましたが、今度はイスラエルSFか。どんなもんなのだろうと興味を惹かれて、手に取りました。三百年ごとに“停止”して、記録に必要な情報を集める<惑星地球の統一連合図書館>がロボットとエイリアンが戦いを続ける地球にやって来て…という「アレキサンドリアを焼く」や別の可能性世界を見ることが占い師と、ある悩みを抱える男性が出会い、さらに、ある有名な作家の名前も登場する「可能性世界」(続く2020/12/18

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