ちょっと気になる社会保障 V3

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ちょっと気になる社会保障 V3

  • 著者名:権丈善一
  • 価格 ¥2,420(本体¥2,200)
  • 勁草書房(2020/10発売)
  • GW前半スタート!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~4/29)
  • ポイント 660pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784326701124

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内容説明

少子高齢化の進行により改革が迫られる社会保障制度の現状をどのように把握し、未来をどのように設計すべきか。2016年刊行の初版、17年刊行の増補版に、2019年公的年金財政検証結果を加筆するほか、「医師偏在対策と働き方改革」、「適用拡大という社会保険の政治経済学」など新たな知識補給とデータ更新を加えた第3版。

目次

V3刊行にあたって
知識補給・番外編 「平成28年年金改革」に寄せて
知識補給の増補版について

はじめに──社会保障なんか信用ならん?
拙著文献表

第1章 少子高齢化と社会保障
 少子高齢化と言えば……
 就業者1人当たり人口の安定性と努力目標

第2章 社会保障は何のため?
 分配面における貢献原則の必要原則への修正
 将来の生産物への請求権を与える年金
 Output is centralという考え方

第3章 社会保障は誰のため?
 計数感覚に欠ける善良な市民
 生活保護と社会保険
 為政者の保身と社会保障政策
 救貧機能と防貧機能

第4章 社会保険と税
 社会保障政策の歴史的経験と制度の理念
 税による貧困救済の扶助原理
 社会保険誕生の意味
 公的年金保険と生活保護
 税と社会保険の財源調達力
 トレード・オフの関係にある制度の「普遍性」と「安定性」の価値

第5章 社会保険と民間保険
 リスクと不確実性
 制度設計における公平性への配慮

第6章 保険のリスク・ヘッジ機能
 安心を買うということの意味
 年金は保険であることを忘れさせた原因

第7章 長生きリスクとは
 おめでたい長寿がリスクってなにごと?

第8章 年金が実質価値を保障しようとしていることを説明することの難しさ
 年金って将来いくらもらえるのですか?
 公的年金論議のパラドックス
 社会経済の不確実性

第9章 結局,民間保険,社会保険,税の違いとは
 不確実性への対応と財政方式
 抑制と効率化の違い

第10章 社会保障がはたす3つの機能
 生活安定・向上,所得再分配,経済安定化
 生活安定・向上機能
 所得再分配機能
 経済安定化機能
 社会保障の持続可能性と社会保障の機能強化との間の政治変動

第11章 建設的な社会保障論議を阻んできた悪気のないストーリー
 世代間不公平論のおもしろさ
 心優しい人たちを惑わせた図──社会保障給付費の経費別割合の見方
 論者に政府を憎ませる根暗な考え方
 歴史を知り,制度を知るということ

第12章 もちろん留意すべき世代間の問題
 財政赤字の問題点としての世代間不公平

第13章 社会保障規模の国際比較と財政
 日本の社会保障って,国際的にはどんな感じ?
 将来の話は名目値では論じてはいけないという話

第14章 今進められている社会保障の改革とは?
 大切なことは,愚説に惑わされて改革を先送りしないこと
 子育て支援策
 医療介護の一体改革
 年金改革

おわりに
V3のおわりに

【知識補給】
 100年安心バカ
 世銀と年金とワシントン・コンセンサス
 日本の年金を世界がうらやましがっている理由
 生活保護とブースターとしての年金
 日本の年金の負担と給付の構造と令和元年財政検証
 投票者の合理的無知と資本主義的民主主義
 保険としての年金の賢い活用法
 保険方式と税方式──最低額が保障されない民主党最低保障年金?
 社会全体で助け支え合うということ
 高齢者の貧困救済と,いわゆる世代間格差との選択
 社会保障に関するふたつの国民会議とは?
 公的年金の財政検証,そして平成26年,令和元年財政検証の意味
 バカ発見器?のひとつ──スプレッドへの理解へのV3での加筆
ほか

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Francis

13
尊敬する経済学者 権丈善一先生が日本の社会保障について雑誌、ウェブなどに発表した文章を校訂してまとめたもの。と言っても私は権丈先生の文章はかなり読んでいたのでどこかで出会ったような文章がほとんど。相変わらずの権丈節の爆発だけど、年金を中心に日本の社会保障の問題点がわかりやすくまとめられている。年金については5年毎に状況に合わせて少しずつ手直しをしていけば制度は維持できるレベルになっているので、残りの社会保障をどのように安定させていくか、この本を読んで考えてほしい。2020/08/09

hurosinki

5
少子高齢化の影響、世代間格差、公的年金の積み立て/賦課方式など、話題のトピックを冒頭に論じ、社会保障の総論的な話に移っていく。自民・民主の某著名政治家、経営層、一部アカデミア、一部メディア等等、とにかく全方面叩くのに躊躇がない。 市場制度は生産の拡大に秀でたシステムだが、貢献原則に基づいた生産物の分配にムラがある。必要があってもお金が無ければ市場制度は「需要」と見なさず、食料、衣類や医療、教育サービスなどの生産物は分配されない。2021/04/23

jackbdc

4
正確性と丁寧さにおいては本ジャンルでもピカイチ。著者の人間性が文体に滲み出ている。へそ曲がりでシャイだが頑固で真面目。若い時の文体と比べるとサービス精神が増えており、かなり読み易くなったと思う。切れ味の鋭さは変わらない。年金を中心に薄く広く論じているが、最も印象に残ったのは著者の使命感。社会保障の根源的な問題は財源不足であり、それををただす事を自らの役割と覚悟している。社会保障のあるべき姿は価値観に規定されると認めた上で、日本が目指すべきで方向性は欧州型であるのに米国型に向かっている現状を憂いている。2021/08/16

ぽん

2
高齢化と国民負担率の経年変化のグラフ、目が開かれるような気持ちがする。日本の社会保障を考える際に押さえておきたいポイントがいくつもあり、読んで損がない本/年金関係がメイン。マクロ経済スライドや受給開始時期など、説明は分かりやすく、これをめぐる政治の議論も冷静に見つめることができると思う。10年ちょっと前くらいの時期と比べると、最近はマシになってきたのかな/軽快な語り口ではあるけれど、分かってない人間をバッサバッサ斬っていくので、クセのある文体に抵抗ある人はいそう。2023/02/17

cava

2
大卒なら知っておくべき事柄だという認識に至ったので、ぜひとも大学で学んでいる人、そして高学歴な方ほど手にとってほしい。現在、少子高齢化社会によって高齢者を支える人の数は減ってきていると不安を煽っているが、実際は、生産可能年齢人口が65歳と定義しているからであって、それを働けるなら全年齢適用に拡大すれば負担は今も昔も変わらないとあり、目から鱗である。社会保障不要論に騙されないために、中間層こそファクトフルネスを受け入れるべきだなと思った。2022/10/14

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