内容説明
日本の「非核三原則」表明の裏には、内閣調査室に結集した知識人達の存在があった。若泉敬、永井陽之助、高坂正堯ら現実主義者はどのように内調に協力したのか? そもそも内調はどのように生まれ、なぜ知識人との人脈を形成するにいたったのか? 内調元幹部の証言やジャーナリストの秘密資料を駆使し、非核政策の「謎」に光を当てた著者博士論文を書籍化。
目次
序章 「官製シンクタンク」の非核提言
1 日本の「実験」
2 本書の意義と目的
3 先行研究
4 構成と史資料
第I部 内閣調査室とは何か
第1章 内閣直属の情報機関構想
1 はじめに
2 「日本情報機関の父」吉田茂
3 言論統制への懸念
4 後退した緒方構想
5 村井室長更迭の衝撃
6 CIAとの蜜月関係
7 おわりに
第2章 内閣調査室の中国事情調査
1 はじめに
2 小説『日本列島』の世界
3 四つの創設案
4 設立後一年の活動検証
5 引揚者からの中国情報
6 弘報活動とは何か
7 おわりに
第3章 内閣調査室の知識人人脈
1 はじめに
2 原点の旧制東京高等学校
3 進歩的文化人批判
4 「学生土曜会」への接近
5 首相密使と総合雑誌の編集者
6 「現実主義者」との協力
7 おわりに
第II部 内調における知識人の核政策研究
第4章 非核政策の萌芽と若泉論文
1 はじめに
2 看板機関誌の創刊
3 原子力潜水艦寄港反対運動
4 池田政権期の核政策論議
5 中国初の核実験と佐藤政権
6 核政策研究の意味
7 おわりに
第5章 非核政策の構築と首相献策
1 はじめに
2 「有志の会」の中国核論議
3 審議員会議の情勢判断
4 国会論戦の中の非核三原則
5 「核四政策」と非核決議
6 十七種類の核政策報告書
7 おわりに
第6章 非核政策の確立と核武装研究
1 はじめに
2 「カナマロ会」の核武装論議
3 非核報告書の伝道者
4 NPT調印の最終局面
5 土壇場まで割れた意見
6 日本国民へのノーベル平和賞
7 おわりに
終章 非核政策の実像と課題
1 遅れた日中復交への対応
2 核持ち込みの告発
3 結論
あとがき
註
参考文献
関連年表(1952‐1974)
人名索引
事項索引