講談社学術文庫<br> 江戸・東京水道史

個数:1
紙書籍版価格
¥1,298
  • 電子書籍
  • Reader
  • ポイントキャンペーン

講談社学術文庫
江戸・東京水道史

  • 著者名:堀越正雄【著】
  • 価格 ¥1,265(本体¥1,150)
  • 講談社(2020/09発売)
  • GW前半スタート!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~4/29)
  • ポイント 330pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784065209226

ファイル: /

内容説明

徳川氏入国以降中心都市となった江戸では、拡大する市街に上水を供するため、すでに独創的な工夫を絶えず続けていた。東京と改まってのち、明治20年の横浜に始まる近代水道は同31年に東京でも通水を開始する。以来日本の首都として急速に発展した東京は、震災、戦災、水害、渇水、地盤沈下、断水と度重なる危機をどう乗り越え、発展してきたのか。家康が家臣に命じ小石川の上水を引いてから淀橋浄水場が「跡地」となるまで、供給側と市民生活の変貌を描く。戦前より長年、東京都水道局で実務に携わった著者渾身の「水道の文化史」。(原本:『水道の文化史』鹿島出版会、1981年刊)

目次

1 江戸の暮らしの中の水
一 江戸の発展と水道の建設
徳川氏入国ごろの江戸/下町の水道、山の手の水道/明暦大火後の都市計画と水道拡張/享保年間の水道再編成
二 完成された江戸水道の給水システム
江戸水道の構造と給水方法/水量管理・水質管理/江戸の市民生活と水道利用
2 江戸から東京へ
一 文明開化と水道改良の機運
江戸(東京)市内の急変/玉川上水の通船問題/明治初年の市内給水状態
二 近代水道創設前夜
上水の水質調査と衛生取り締まり開始/改良水道の調査と計画/急を告げる飲み水の危機/コレラ大量発生による水道改良の促進/改良水道設計案の決定――市区改正と水道事業
三 永くかかった水道改良工事
浄水工場・給水工場の位置変更/改良水道着工以前のつまずき/前代未聞の式典
四 文明開化の水
創設水道の通水開始/水の出る不思議な柱/改良水道(欧米式有圧上水道)の給水システム
3 変わりゆく都市生活と水道
一 いちじるしく手間どった水道拡張――大正二年より昭和十二年に至る二四カ年継続事業
村山貯水池計画に始まる拡張工事/村山貯水池の築造/都市の急速な発展と旺盛な水需要
二 震災被害と復旧および拡張工事の推移
大正十年の強震による全市断水/大正十二年関東大震災による水道施設の被害と復旧/施設の改善と水道復興速成工事/山口貯水池の築造
三 市域拡張と町村水道・民営水道の合併・買収
市域拡張前後の郊外水道/町村水道・民営水道の合併・買収/一〇万栓の水道増加計画
4 戦争と水道
一 戦時下の水道
需要水量増加に対する拡張計画/戦時生活と水道/水道の防衛対策/戦災による被害
二 終戦直後の水道
戦災被害復旧と給水不良対策/進駐軍の指令による塩素減菌の強化/渇水対策と水害復旧/戦後の水道復興計画と拡張事業の再開
5 戦後の都市生活と水道
一 都市の復興と給水需要の増大
二 水道拡張工事の進行
三 累年の水不足と制限給水
四 変貌する東京の水道地図――多摩川系中心から利根川系が主流に
五 江東地区の地盤沈下対策と市街地再開発――下水処理水再利用による工業用水道の建設など
六 新宿副都心計画による淀橋浄水場の移転
七 広域水道(三多摩水道の一元化)
八 水需要の抑制と新しい水源を求めて――迫られる発想の転換、節水型社会の創造へ

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

美術鑑賞好きな猫

10
100万人都市だった江戸には、早くから水道設備が整っていたようです。非常に衛生的な反面課題も多く、川から直接取水しているため渇水期は水が出ない、浄水施設がないため疫病が流行りやすい、雨が降ると泥水が混じって飲めなくなる、また水道管には石や木、竹などの材料を利用しているため漏水がひどいという有様でした。明治時代に洋式水道が普及し始めて解消したかと思えば、関東大震災、戦争、人口過密など、次々沸き起こる課題にどう取り組んできたか、といったまさに東京の水道史がわかる一冊です。人間が住むところに水道史あり、ですね。2020/10/18

月猫夕霧/いのうえそう

6
タイトルには江戸とありますが、内容的には東京都水道局100年史という感じの本です。玉川上水などの素掘りの水道しかなかったところから今の利根川まで使った大規模な近代水道網に至る歴史を職員さんの目線で書いているますが、東京の拡大とともに面的にも質的にも拡大していく様子がよく解ります。そういえば80年代までは渇水が良くありましたが最近は渇水を聞くことも少なくなって、本書では書かれてない直近30年間も水道の拡充は続いているのですね。2023/02/27

アメヲトコ

5
単行本1981年刊、2020年文庫化(著者は故人のため増補なし)。著者は元東京市水道局勤務。近世から戦後まで、巨大都市江戸・東京がいかに水を得るために苦闘してきたかを描きます。近世から多摩川に依存するという脆弱な基盤を思うと、19世紀末に東京府が神奈川県から三多摩を強奪した理由もよくわかります。全体的に興味深い内容ですが、地図が少ないのが残念。2020/12/31

バッシー

2
東京の水はどこから来ているのか知りたくて手に取った。江戸時代からの水道の成り立ちが興味深い。元書が古い本なので昭和50年代で終わってしまうのが残念。令和までの変遷も知りたい。2022/12/20

うみ

0
コレラ祭りからの。東京編がおもしろい。人口拡大はインフラ整備を必要とするけど、そんなにすぐには整わず。水源確保もたいへん。出版されてから時間が経ってるから現在のフォローまではないけど、その後のことを思ったら水道民営化なんてちょっと考えられない。2021/11/21

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/16417402
  • ご注意事項