内容説明
本書は、前作『言葉が鍛えられる場所』の続編であり、
これまでわたしが書いてきた本の中でも、
特に愛着のある一冊になりました。
というのは、いかなる制約もなしに、
大好きな詩人たちのヴォイスを聴きながら、
書きたいことだけを自由に書くことができたからです。
その静謐なヴォイスの向こう側に、
見たこともないような風景が立ち上がってくるのを目撃するという体験を
読者と共有できれば、これ以上の喜びはありません。
――――― 平川克美
「何の役にも立たない」から読みたくなる。
珠玉の言葉、魂の言葉が詰まったエッセイ。
われわれ人間にとって見えないものとの対話とは何を意味するのか?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
eulogist2001
4
★4.0 めっちゃ面白かった 内田樹とは小学生からの友人。沢木耕太郎は内田樹の兄、徹さんと同じ高校。大滝詠一とは親交があった。村上春樹もよく読む。なんとも羨ましい。 詩作についてはあまり詳しくは無いので、そこは学びとなった。2020/05/22
オールド・ボリシェビク
3
著者は1950年生まれの実業家であり、著作家。詩や短歌、小説の言葉に触れて、触発された「なにか」を綴っていく。著者は「何の役にも立たない何か」を言葉によって押し留めようとしている。自ら暮らした高度成長期の東京・蒲田周辺の工業地帯とそこで懸命に生きた父母ら庶民の暮らしから、「共和的貧しさ」を共有できた学生時代などなど。少々、感傷的ではあるが、共感できる。「かたちのあるものと、かたちのないものと、どちらかを選ばなくちゃならないとしたら、かたちのないものを選べ」。村上春樹の小説中の言葉が響く。2025/01/05
amanon
3
年を経るにつれ変わってくるものと変わらないもの…著者と同じく長いこと実家を離れていた自分は、後年には、やはり著者と同じように実家に戻るのだろうか?かつての旧友と旧交を温めたりするのだろうか?恐らくその可能性は低いであろうと推察されると、改めてこれまでの自分の人生は何だったのだろうか?とふと考えたくなる。また、著者が引用する夥しいまでの数々の詩に、そこまで詩にのめり込み、自らの人生をそこに投影することができる著者の感性がふと羨ましくなる。あり得たかもしれない人生…そんなことを思ってもしょうがないのだけれど…2021/06/02
ナオヒ
2
ここ数年で読んだ文芸エッセイのなかで一番良かった。詩や小説といった文芸表現が目指している『言葉にできないことを言葉にする』ことや『見えないものに向けて語りかけている人』について書かれた全18章は刺さりすぎて少し痛みすら伴うくらい。やはり言葉の力はすごい。著者は『何の役にもたたない』などと書いているがとんでもない。実はこれこそが人生の豊饒さや渋みなのではないかと。詩をまた改めてじっくり読んでみたいと思った。2020/09/18
くろすけ
1
エッセイの中で、多くの詩が紹介されている。著者が出会った詩が、生まれ育った場所・時代、見てきたもの・感じたことにシンクロしていることに驚く。確かに詩は、うまく言葉にできない情景や心情を代弁してくれることがあるのだと思った。2020/05/28
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