社会的ジレンマ - 「環境破壊」から「いじめ」まで

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社会的ジレンマ - 「環境破壊」から「いじめ」まで

  • 著者名:山岸俊男
  • 価格 ¥640(本体¥582)
  • PHP研究所(2020/07発売)
  • GW前半スタート!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~4/29)
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  • ISBN:9784569611747

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内容説明

「自分一人ぐらいは」という心理が集団全体にとっての不利益を引き起こす社会的ジレンマ問題。違法駐車、いじめ、環境破壊等々、現代社会で起こっている多くの問題はこの「社会的ジレンマ」と見ることができる。著者は数々の調査・実験・シミュレーションから、人間は常に自分の利益を大きくすることだけを考えて「利己的」な行動をとるわけではなく、多くの場合、「みんながするなら自分も」という原理で行動することを明らかにした。そしてこの「みんなが」原理こそが人間が社会環境に適応するために進化させてきた「本当のかしこさ」ではないかと指摘する。『信頼の構造』『安心社会から信頼社会へ』などの話題作を発表し、心と社会との関係について、認知科学・心理学・社会学・経済学など多方面からユニークな研究を展開する著者。本書も、これからの社会や教育のあり方を考える上で、お説教的な精神論の限界を乗り越える重要なヒントを与えてくれる。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

としP

12
違法駐車、いじめ、環境破壊等々、「自分一人ぐらいは」という心理が集団全体にとっての不利益を引き起こす社会的ジレンマ問題。数々の実験から、人間は常に「利己的」で「かしこい」行動をとるわけではなく、多くの場合、「みんながするなら」という原理で動くことが分かってきた。この「みんなが」原理こそ、人間が社会環境に適応するために進化させた「本当のかしこさ」ではないかと著者は考える。これからの社会や教育を考える上で重要なヒントを与えてくれるユニークな論考。2018/09/26

nizimasu

8
山岸さんの著書は以前にも糸井重里さんがおすすめしたこともあって読んだんだけど、その時は90年代に出版された本で、まだこの社会心理学のジャンルも過渡期にあったようで、その後の学術的な成果についてもかなり盛り込まれている。その内容は、いわゆる行動経済学で言う「囚人のジレンマ」の話で、いかに相手と信頼関係を構築するかという戦略が正しくもあり様々な要因が複雑に加わると条件が変わったりという実験と人間の行動の源泉にあるのは、知識なのか感情なのかというところにまで及ぶ。何気に組織の問題に言及していてこれには大いに同感2014/12/02

安国寺@灯れ松明の火

8
中公新書の著書よりも読みやすかったと思います。著者は、世の多くの人は単純な利己主義者ではなく、「みんなが協力するなら自分も協力する。しないなら自分もしない」という相互主義者であることを、実験を通じて示しています。そして、これは文化や心の問題ではなく、人間が進化の過程で備えた「かしこさ」だと言います。現実は「協力すれば**円、しなければ**円」という「利得」が明らかでない場合がほとんどなので、消化しがたい部分もあるかもしれません。ただ、実証の一歩としての意義は決して小さくないように思います。(続く)2012/04/14

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5
「みんなが協力したら私も協力する」。これを「みんなが」原理(社会的交換ヒューリスティック)と呼ぶ。学校のお掃除、環境問題、いじめ解決などこの世は社会的ジレンマに溢れる。人は脳のその解決を専門とする社会的交換モジュールを進化させたらしい。一回きりの囚人のジレンマですら協力的な人が多い事実もそれを支持する。「次回のお返し待よろしく」の互恵性理論では説明がつかない。本書は利他的人間は意外にも"みんなが"人間より損をすること、"みんなが"人間を増やすことがジレンマを解決することを説明し、彼らを増やす方法を考える。2016/02/03

nabebe

3
個人の利益と社会全体の利益が合致しない社会的ジレンマについて詳しく叙述。そうした状態で人々が社会全体の利益を選択するにはどうすればよいか。それは「みんながするなら協力、しないなら非協力」という「みんなが状況」をつくりだすことだという。そうした状況が、利己的選択をずっとする人たちよりも多数になればいい。そうすればいじめ問題、公共財問題は解決される。限界質量論の説明もためになった。「教育」「アメとムチ」でどうにもならない事柄、無意識的非合理選択などは勉強してて面白い分野である。これからも学んでいきたい。 2018/02/25

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