内容説明
次の世代へその形質を間違えなく伝える〈ゲノム〉
その謎をサイエンス・コミックで解き明かします!
遺伝子・ゲノム・DNAとはなにか?この100年で人間の認識を急速に拡大させたゲノムの誕生と科学的発展を、エキサイティングな冒険物語へと昇華させたグラフィック・ノベル。
本書は時間旅行をする列車に乗り、遺伝子に取り組んだ多くの科学者と出会う主人公の物語です。遺伝子を中心として展開される科学史を整理し、親切に説明。遺伝子を構成するその物理的実体について明らかに描き出します。
生命体の情報を暗号化されたデジタルコード、つまりDNAの塩基序列の形態で圧縮して、世代から世代へと伝達するという考えは人間が作り出したモデルであって、抽象的な概念です。
多くの科学者たちの苦闘と、想像するよりも巨大な現象である遺伝を体感できる1冊です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ルピナスさん
40
途中で久しぶりに偏頭痛がする位、私には難しい内容でしたが、後半から浮上しました。遺伝は巨大な現象であり、流れる過程であり、物質に限定されない。そんな風に考えたことはなかったので、何を言っているのか、何度も振り落とされそうになりました。私が味わった混乱と挫折は、科学の歴史が失敗の過程からの学びであることを踏まえると、私は正に科学者の取組みに共感するという、通常では経験できない擬似体験をしたようです。韓国人の作者は、想像力を刺激する科学の漫画本をテーマに分野を開拓しているので、他も読んでみたいと思います。2022/02/04
kochi
13
ゲノムエクスプレスに乗り、遺伝、ゲノムについて学ぶマンガ。汽車にはさまざまな実在の人物が乗り込んで来て、主人公に歴史的な背景や考え方を教えてくれる。『黄金虫変奏曲』を読みレスラー博士が何を解明しようとしていたのか?が気になり手に取った本。四つの塩基の三つ組とアミノ酸の対応の解明は本書の半ばで終わるが、遺伝・発生はDNAだけでは決まらず、細胞やさらに上位の組織の影響もある全体的なものであるというのが本書の後半。ミトコンドリアが女系と言う意味も初めて理解できる。エクスプレスが蒸気機関車なのは銀鉄999の影響?2022/07/31
美東
9
良書。249頁。CHAPTER09 ”道に迷う 遺伝子はあちこちにある” あたりから、俄然、おもしろくなる。 396頁。”DNAやタンパク質のような物理的客体が遺伝の唯一の原因ではなく、遺伝を代表するものでもない。遺伝はひとつの巨大な現象であり、過程であり、それそのものなのだ。” 2020/08/20
ぺーはーせぶん
4
遺伝は過程であり現象である。遺伝子(核酸)は要素の一つに過ぎない。2020/08/29