ウォークス 歩くことの精神史

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ウォークス 歩くことの精神史

  • ISBN:9784865281385

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内容説明

アリストテレスは歩きながら哲学し、彼の弟子たちは逍遥学派と呼ばれた。
活動家たちはワシントンを行進し、不正と抑圧を告発した。
彼岸への祈りを込めて、聖地を目指した歩みが、世界各地で連綿と続く巡礼となった。

歴史上の出来事に、科学や文学などの文化に、なによりもわたしたち自身の自己認識に、
歩くことがどのように影を落しているのか、自在な語り口でソルニットは語る。
人類学、宗教、哲学、文学、芸術、政治、社会、
レジャー、エコロジー、フェミニズム、アメリカ、都市へ。
歩くことがもたらしたものを語った歴史的傑作。

歩きながら『人間不平等起源論』を書いたルソー。
被害妄想になりながらも街歩きだけはやめないキェルケゴール。
病と闘う知人のためにミュンヘンからパリまで歩き通したヘルツォーク。
ロマン主義的な山歩きの始祖・ワーズワース。
釈放されるとその足でベリー摘みに向かったソロー。
インク瓶付きの杖を持っていたトマス・ホッブス。
ラッセルの部屋を動物園の虎のように歩くウィトゲンシュタイン。
刑務所のなかで空想の世界旅行をした建築家アルベルト・シュペーア。
ヒロインに決然とひとり歩きさせたジェーン・オースティン。
その小説同様に大都市ロンドン中を歩きまわったディケンズ。
故郷ベルリンを描きながらも筆はいつもパリへとさまようベンヤミン。


歩くことはいつだって決然とした勇気の表明であり、
不安な心をなぐさめる癒しだった。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

どんぐり

88
ソルニットの「歩くこと」をめぐる精神史17章。歩くことは、人類がアフリカという場所で二足歩行が出現したときから今日まで、あまり進歩をしてない動作だ。孤独な散歩者のルソー、哲学で散歩するキェルケゴールなどは歩くことで心に何かをひらめかせてきた。精神的な目的地への巡礼の旅、ルネサンス庭園は座るだけではなく散歩のできる場所になり、さらに広大なバロック庭園へと変化させた。アメリカを横断する3000マイルの徒歩旅行、政治運動に彩られた広場の民衆、「今こそ停戦を」と呼びかける大使館前や国会前にデモする市民運動など、→2024/02/22

あすなろ

88
人類の歩くというテーマで517頁。なかなか含蓄あり厚みある本である。僕は流し読みした部分もあるがウォーキングが趣味で身心に効いていると感じている者なので興に入って読了。歩くことの理想とは、精神と肉体と世界が対話を始め、三者の奏でる音が思いがけない和音を響かせる様なそういった調和の状態。更に一歩そして更に一歩と打楽器を叩き始める様な。二足歩行は人類だけのものでそこから何が生まれ、何を我々にもたらしてくれるのか。ウォーキングとは思索と対話そして健康と僕も思ってはいたが、こんなに語れる著者に驚き、愉しんで読了。2020/11/23

アキ

86
「迷うことについて」に次いで2作目。原題Waderlustは旅することへの渇望。読み終えた今、長い旅路を終えたような満足感と寂寥感がある。歩行の歴史の始まりは2足歩行への進化と人体解剖学の歴史である。とてつもなく長い時間われわれは歩いてここまでたどり着いた。そして歩くことの身体性は精神に影響を及ぼす。多くの哲学者や作家が歩きながら思索したように著者もさまよいながらこの書を記した。イギリスの田園風景、アルプスの山歩き、蠱惑的なパリの街角、サンフランシスコの通りの数々、最終章はラスベガスの人工的な通りで締める2020/06/30

かふ

22
図書館本なので駆け足で読んでしまったが、本来はゆっくり歩るく速度で思索しなが読む本である。ここに現在最も注目されるソルニットの思想の精神史が語られていると思う。それは、現在の都市部では人が歩く場所が減らされているという。土地が所有され立ち入り禁止になり、あるいは関係者以外進入禁止だったり、道路は車のためのもので遊歩道も整備されていない。おまけにベンチは休む為というより街のインテリアとして飾られているだけだ。公共空間はますます狭められ散歩するのも勇気が必要。真夏は、熱中症になるので散歩はしてはけません。2022/10/11

ミエミル

17
★2.5 2章分くらい読みました。続きはまた今度。2018/01/21

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