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内容説明
激動の時代を生き抜くために、これだけは言っておきたい――。
私たちは、近現代史から何を学ぶべきか?
ノンフィクション作家・保阪正康による、歴史の大局観を養うための迫真の講義。
★緊急書下ろし「コロナと近代日本」を収録!
なぜ日本は「たった14年」で壊滅したのか?
高度経済成長が「戦争の失敗」を繰り返したのはなぜか?
明治日本はなぜ「帝国主義国家」以外の道を選べなかったのか?
戦前の日本が軍事学を軽視した背景とは?
「天皇がいるけれどいない」大正の5年間は私たちに何を教えるのか?
日本のファシズム体制を形成するプロセス「三段跳び理論」とは?
「コロナ危機」を前に歴史から学ぶべきこととは?
私たちが必ず知らなければならない「歴史の教訓」が、ここにある。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
60
明治以降の日本の近現代史を通観すると、明確な国家理念や未来像の不在に気づく。次々と襲う事態を解決するため最善の努力を尽くすが、戦争に勝ったり経済危機を脱出後の日本をどんな国にするかという意識が完全に欠けていた。皇国史観やマルクス史観ではそれらしきものがあったが、どちらも都合の悪い史実を切り捨てて反対者を容赦なく排除する点では同一だった。戦術はあっても戦略はなく、戦略を定める政治もない日本が激動の世紀を生き残ってこられたものと思い知らされる。コロナ後の日本をどうするかという理念こそ今の政治に求められている。2021/02/05
かんやん
34
ジャーナリズムの実証的な歴史検証は、唯物史観や皇国史観のように演繹的ではなく帰納的なものであり、そこから教訓が導かれるという。タイトルにある警告とは、そういう意味合いで、著者は本当に危機感を持っている。なぜ自由と民主主義はいともたやすく奪われてしまったのか。愛国ではなく、憂国ということなんだろうな。2020年刊行だから、コロナの記述多し。まだまだ先が見通せない。2022/08/11
kawa
25
昭和35年からの高度経済成長の14年は、満州事変から敗戦までの14年間と表裏一体だ。5.15、2.26事件等昭和初期に頻発したクーデターやテロを軍部がうまく利用して、理念なきファシズム体制を構築し戦争に突き進んだ等、著者流のユニークな歴史視点が刺激的な一冊。2020/10/18
たくみくた
10
12冊目。高度経済成長は戦時に排斥されていた人たちの逆襲。短期現役士官制度:海軍の先見性による優秀な人材確保の手段。彼らは戦争時に戦争にかかる費用を計算させられていた。数字から考えてどう考えても負けになる戦を、指をくわえて見るしかできなかった。高度経済成長は戦争に対する怒りに支えられた繁栄。/まぐれでの日清戦争での勝利が日本を戦争国家に導くことに。近代戦を理解することができず、兵士のエネルギーが何にも増して相手を圧倒するのだという精神主義が主流になってしまった。2021/02/14
紫の煙
10
新型コロナウイルスに対して、全体主義的な体制で向き合わざるを得ない状況下で、過去のファシズムを振り返ることは重要である。まさに、近現代史からの警告と言う訳か。コロナの脅威を前に、安倍前総理の言動には、歴史観が感じられなかったと述べられる。2020/10/07