内容説明
40歳を過ぎてベトナムに移り住んだ日本語教師の女性と、第2次世界大戦後も帰国せずにベトナムに残った日本兵とその家族たちとの30年におよぶ交流の記録。
著者小松みゆきさんは1992年にハノイに赴任。2001年に認知症となった母親を日本から呼んで同居を開始。その大変だけどちょっと愉快な日々は2015年に松坂慶子さん主演「ベトナムの風に吹かれて」として映画化されました。彼女は新潟の田舎育ち。昭和の貧しくアナーキーな青春時代を駆け抜けてきた魅力的な個性の持ち主です。一方、日本兵たちは戦後ベトナムの抗仏戦争に協力しベトナム人女性と家族を持ちますが、ベトナム政府の方針転換により日本へ単身帰国することになり、残された家族は一転して迫害を受けるようになります。おたがい社会からはみだした境遇だったから引かれるものがあったのか、その後30年にわたって小松さんは残された家族の相談相手、日本に戻った元兵士たちとの橋渡しを務め、認知症の母も同世代のベトナム人妻たちと仲良くなったりします。それにしても不条理に残されたベトナム人の妻たち、子供たちは、なぜ日本に戻ってしまった夫、父親を恨みもせずに想いつづけるのか。共感、怒り、感動…多くの人に読んでもらいたい1冊です。
目次
残留日本兵家族との出会い
一九九二年、ハノイ
ソンさんの回想
手紙
残留日本兵家族と私
ほかにもいた「コンライ」たち
同世代の私
特別な国
「姉ちゃんがやってあげるよ」
父たちの歳月
調査開始
残留日本兵とは
帰国、その後
日越の架け橋に
呉さん、帰国できなかった残留日本人
スアンさんと家族の歳月
私はハルコ
残された家族
ロックさんと家族の歳月
日本からの人探し依頼
高澤さんとの暮らし
残された家族
「父の愛した妻」
ズンさんと家族の歳月
始まった文通
親子対面
タチバナさんの「戦争体験記」
Baちゃんが来た
認知症の母を引き取る
ソンさんの父は
Baちゃんとの日々
伝える責任
二〇〇四年、「ベトナムの蝶々夫人」
NHKドキュメンタリー始動
スアンさんの夫清水さんを訪ねる
ドキュメンタリー放映
残留と帰国の理由
近づく心の距離
清水さん訪越、スアンさんとの再会
「お父さんの国が大変だ」
相次ぐ喪失
映画と母の死と
父の国へ
二〇一七年、天皇皇后両陛下訪越
墓参の旅
高澤さんのお墓が見つかった
ズンさんの四国の妹たち
スアンさん、分骨・その後
ロックさん、動きだした時計
「和」への想い
【解説】
「新しいベトナム人」の時代背景 白石昌也
残留日本人の日本帰国の背景 古田 元夫
加茂徳治さんのお墓探し 坪井善明
二つのドキュメンタリー 栗木 誠一
【資料】
レ・ティ・サンさんの手記
橘さんの「戦争体験記」と「手記」
橘さんから家族への手紙
呉連義さんの手記による「ホクタップ」
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Mc6ρ助
貧家ピー
ぽけっとももんが
博多のマコちん
ちゃーびん