ネット炎上の研究 - 誰があおり、どう対処するのか

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ネット炎上の研究 - 誰があおり、どう対処するのか

  • 著者名:田中辰雄/山口真一
  • 価格 ¥2,420(本体¥2,200)
  • 勁草書房(2020/04発売)
  • ポイント 22pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784326504220

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内容説明

インターネットが普及すれば多くの人が自由な議論の輪に加わり討論の民主主義が社会のすそ野に広がっていくと期待された。しかし論調は暗転し、ネット上での意見交換に悲観的な意見が増えてくる。この論調の暗転の大きな原因になったのがいわゆる炎上問題である。本書はこの炎上について定量的な分析を行うとともに、本書なりにその原因と社会としての炎上対策を示す。

目次

はじめに

第1章 ソーシャルメディアと炎上:特徴と発生件数
 1-1 炎上とは
 1-2 炎上の特徴
 1-3 炎上の発生件数推移と傾向
 1-4 参考となる論文・書籍
 1-5 ネットコミュニケーションのゆくえ

第2章 炎上の分類・事例・パターン
 2-1 炎上の分類
 2-2 I型:反社会的行為や規則に反した行為(の告白・予告)
 2-3 II型:何かを批判する,あるいは暴言を吐く・デリカシーのない発言をする・特定の層を不快にさせるような発言・行為をする
 2-4 III型:自作自演,ステルスマーケティング,捏造の露呈
 2-5 IV型:ファンを刺激(恋愛スキャンダル・特権の利用)
 2-6 V型:他者と誤解される
 2-7 炎上のパターンと予防・対処

第3章 炎上の社会的コスト
 3-1 情報発信の萎縮
 3-2 若干の統計的検討
 3-3 初期インターネットとの比較
 3-4 炎上対策の検討
 3-5 結語:炎上のコストは情報発信の萎縮

第4章 炎上は誰が起こすのか
 4-1 人々の炎上とのかかわり方
 4-2 データから見る炎上参加者のプロフィール
 4-3 炎上参加者属性の分析:年収の多い若い子持ちの男性が書き込み
 4-4 炎上参加行動に有意でない属性:ひとり暮らし,学歴,ネット時間等
 4-5 炎上の捉え方と予防方法

第5章 炎上参加者はどれくらいいるのか
 5-1 なぜ参加者数を調べるのか
 5-2 アンケート調査での炎上参加者数推定
 5-3 Twitterでの炎上参加者数推定
 5-4 炎上での直接攻撃者
 5-5 結語:炎上参加者はごく一握り

第6章 炎上の歴史的理解
 6-1 炎上の理解:集団極性化とデイリーミー
 6-2 近代化の歴史より
 6-3 草創期の力の濫用

第7章 サロン型SNS:受信と発信の分離
 7-1 炎上の真の原因
 7-2 サロンの構想
 7-3 自由参入かメンバーシップか
 7-4 結語:サロンの必要性

第8章 炎上への社会的対処
 8-1 炎上とのかかわり方とインターネットに対するイメージ
 8-2 政策的対応の検討
 8-3 炎上への規制対応は難しい

付録 炎上リテラシー教育のひな型

参考文献 ・

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

えちぜんや よーた

83
へー、一つの「炎上」で当事者に対して直接攻撃する人って、数名程度なんだ。研究だけでなく、最後に一般人でも対処して、情報発信が続けられる方法が述べられているところが良いと思う。2016/07/13

Aquarius

37
炎上した結果、悪徳業者や詐欺が改善されることは良い面だと思う。SNS等で炎上しない、トラブルに巻き込まれないためには発信しないこと、そもそもSNSを利用するリスクを把握していればそんなことをしないはずである。なかなか興味深く読めた。書きたいことは多々あるが、読メで炎上するのは怖いので簡単にまとめておこう。(サボったわけではないよ笑)興味ある方は手にとってみてはどうだろうか、自己防衛の助けにはなるはずである。2016/06/23

サアベドラ

27
SNSや掲示板で特定の投稿に対して非難や攻撃的コメントが殺到する現象、いわゆる「炎上」を定量的に分析した本。計量経済学を専門とする研究者とその弟子による共著。2016年刊。炎上に対し、何かしらのアクションを起こす人はネット人口全体の1%以下、そのうち執拗に攻撃を繰り返す人は十数人~数人にも満たないという。ネットが人を凶暴にするというより、ごく僅かの常軌を逸した人に出くわす確率を高めてしまうのがネットという空間らしい。前半は興味深かったが、後半の炎上の原因と対策の考察はちょっと的を外しているのではと感じた。2019/03/18

ゲオルギオ・ハーン

26
2016年発行のため、アンケート結果や分析は少し古い印象もある。それでも示唆に富む説明が多く、読んでいて興味深い。例えば、炎上=ネット全体の意見、と捉えてしまいがちだが参加者は(当時)0.5%に過ぎず、そうした参加者というのは漫画やドラマにあるような暇を持て余した劣等感のある無職者ではなく、所得が比較的多く、掲示板に書き込んだり、SNSに積極的に書き込む人々だという(つまり、暇人だからとか無職または特定の職業という傾向はないそうだ)。また、SNSでトラブルを起こしやすい話題の分野も示されていて面白い。2023/07/22

津田大介

18
従前のネット炎上解説本と異なり、現状のネット炎上が起きる原因を「誰もが相手に強制的に直接対話を強いることができ、それを止めさせる方法がない」と定義し、0.5%というわずかなラウドマイノリティーに過剰な情報発信力を与えたことによる問題として、具体的な対策まで提示した新しいネット炎上解説書。今後ネット炎上を語る際、必ず参照される重要本になると思う。2016/05/04

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