内容説明
オックスフォード大学出版局から2009年に刊行され、演奏家たちの圧倒的支持を受けて同社音楽書部門のベストセラーとなった名著、待望の日本語版。
「才能はあなたの内なる可能性を表す、生涯にわたって吹き続ける風のようなものだ。創造性のスキル――とくに、本書で取り上げた練習、本番、自己管理のスキル――は、その風を受けて芸術という船を進める帆のようなものだ。スキルをマスターしていけば帆はどんどん大きくなり、もっと多くの風をとらえ、さらにすばらしい成果を出せるようになる。才能という風がそよ風であれ強風であれ、帆がなければ風は吹き去るばかりでどこにも連れて行ってはくれない。（…）道のりの途中では、勝利を収めることもあればつまずくこともあるだろう。（…）それでも、やがて振り返ってみたときには、それまで歩んできた曲がりくねった道にもちゃんと意味があったことがわかるはずだ。」（本書より）
目次
【目次】
●第I部：練習上手になるには
第1章 準備を整える
第2章 深く練習するI
第3章 深く練習するII
第4章 深く練習するIII
第5章 深く練習するIV
第6章 グループでの音楽活動
●第II部：恐れずに演奏する
第7章 演奏不安とは何か
第8章 パフォーミング・アーティストになるにはI
第9章 パフォーミング・アーティストになるにはII
第10章 パフォーミング・アーティストになるにはIII
第11章 プロらしく演奏するには
●第III部：音楽家であり続けるために
第12章 故障を防ぐI
第13章 故障を防ぐII
第14章 生徒として成功する
[日本語版第III部監修者解説] 古屋晋一
原註
参考文献
索引
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あんさん
12
おそらく音大生を読者にした本。練習、本番、体のケアやキャリアプランニングまで取り上げる。セラピストやカウンセラーに相談するよう、度々記述されるのは米国らしさか。これで本番での失敗が少しは減らせるだろうか。「コンサートのとき聴衆は音楽の世界に浸っているので間違いをあまり気にしない」「どんなミスをしでかしても、とにかく演奏を続けよう。同時に、力を抜いてポジティブな雰囲気を醸し出そう。何が起きても自信に満ちた態度を崩さないことだ」「溺れるのは水に落ちたからではない。水から出られなかったからだ」2023/06/17
ヨータン
9
趣味で歌ったり演奏するので読んでみましたが、ここまで必要ないよというくらい丁寧に詳しく書いてありました。本気で音楽で食べていこうと思っている人にとっては手放せない本になると思います。2021/02/11
スリカータ
9
緊張対策を知りたかったので、じっくり読みました。弦楽器、管楽器、声楽、打楽器、ソロ、アンサンブルなど様々なシチュエーションに対応しています。時間を置いて再読したい本です。2019/09/05
ヨハネス
8
とてもいい。暗譜ができなくなったのは歳のせいでもあるとは思うけど、ちゃんと方法があったんだ。漫然と弾いてて暗譜したのは、本番で間違えやすいって怖い。１～２週間でマスターできる曲を選ぶことができるのは独習者の特権かも。楽譜の扱い方について、電子版とかコピーの用意の仕方とか、古い本には絶対書いてない情報があるのがすばらしい。本が重いので電車内で読む機会が限られ、また次の予約も途切れず入るのでなかなか読了しない。何度でも予約して意地でも図書館本で読了する。買ったら積読間違いないもの。2020/01/01
ミー子
6
音大生などプロの音楽家を目指す人向けではあるが、私のように趣味でピアノを続けているアマチュアでも、音楽をある程度真剣にやろうとしている人にはとても有益な本。私の場合、人前で弾く時にアガらないよう色々努力してもダメで困っていたが、その解決法が見えたかも。私の場合、暗譜の方法を根本的に変える必要があると知った。練習法や暗譜法、本番前・後のこと、体のことや心構えまで幅広い内容。あらゆる楽器そして声楽の人も想定した内容で、ピアノソロしか多分やらない私には無関係なページもあるが、有益な内容の方が圧倒的に多かった。2019/01/27
