世界は感情で動く - 行動経済学からみる脳のトラップ

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世界は感情で動く - 行動経済学からみる脳のトラップ

  • ISBN:9784314010542

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内容説明

ベストセラー『経済は感情で動く』の著者による第2弾!

世の中すべて「直感」からはじまる!
銀行の倒産、株価暴落、不動産市場の動向、大統領選挙、イラク戦争、医者の診断、裁判の判決、人事考課、性格診断、宝くじの当選・・・・・・。
えっ! こんなことも?
豊富なエピソードで一気に読める「脳の罠(トラップ)」回避法

人は直感が大好き。
理屈で考えるより先に無意識に行動する。それは集団をも巻き込み、国家や企業の命運や人命に関わる重大な決断や判断さえも左右するのだ。最新の行動経済学は神経経済学の成果もとりいれて、人の認知のみならず判断や行動に見られる心のバイアスを明らかにしてきたが、この脳が仕掛ける「トラップ」を理解し、自分の錯覚と他人の策略から身を守る方法を提示する。

●判断のうらに潜む「脳の罠(トラップ)」を知ろう
◎予言どおり銀行が倒産した →<予言の自己成就>
 サブプライムローンの危機に巻き込まれたイギリスの銀行ノーザン・ロックもこの手にやられた。自己成就の予言のはじまりは2007年9月、資金繰りの悪化が発表されたときだった。
◎指紋やDNAは確実な証拠だ →<確実性効果>
 ふたつの指紋が偶然一致する確率は640億分の一であるとされる。盗みで訴えられ、犯行現場に残された指紋が一致すると言われたら、誰でも「確実な証拠」と思ってしまう。
◎あの記憶は実際には「なかった」→<偽りの記憶>
 交通事故の現場を目撃した。しかし記憶はビデオカメラのようには、はたらかない。テレビのインタビューに答えて、あなたは実際には起こってもいない出来事を「リアル」に説明しているのだ。
◎「イエスマン」だといわれる →<集団思考>
 ブッシュ大統領とブレア首相は、大量破壊兵器という根拠のないものを動機にしてイラク戦争をはじめてしまった。その決定の重大な間違いは、「イエスマン」ばかりの決定プロセスにあった。
◎高いワインがおいしい →<ハロー効果>
 1本千円のワインは、1万円という偽の値段で飲んだときのほうが、千円という実際の値段で試飲したときより、ずっとおいしい。味や香りが生み出す快感は「高い値段」で一層高まるのだ。
◎「占い」はよく当たる →<バーナム効果>
 雑誌の占い記事を貼りあわせた言葉でも、自分のための意味を見つけようとする人にとっては、その言葉が自分のことだけを表しているように見えて、実際そのとおりだと信じたくなる。
<注意の焦点化効果><後知恵><順序効果><後悔の理論>

◆推薦の声
「本書は脳のしかけるトラップをくわしく分析・解説しているが、さらにうれしいことに、トラップに引っかからずに適切な選択をするためのワザまで、丁寧に教えてくれる」(ガゼッタ・デル・メッゾジョルノ紙)

◆行動経済学から神経経済学へ
ダニエル・カーネマン(1934- )とエイモス・トヴェルスキー(1937-1996)は、1970年代後半から80年代前半にかけて、多数の実験をもとに、現実の人間が不確実性のもとでは必ずしも合理的な意思決定をせず、伝統的な経済学の理論から「ある規則」によって外れることを実証、「期待効用理論」に替わる理論として「プロスペクト理論」(prospect theory:リスクを伴う決定がどのように行われるかについての理論)を提唱した。利益と損失に対して人間がどう反応し、判断するかという研究は、株式市場における投資家の心理分析や、行動ファイナンス理論の基礎を築き、これが「行動経済学」という新しい経済学の生まれる契機となった。カーネマンは、2002年に「心理学的研究を経済学に導入した業績」でノーベル経済学賞を受賞した。近年、脳科学の進歩にともない、fMRI(functional Magnetic Resonance Imaging:機能的磁気共鳴画像)装置を使うことにより、活動している人間の脳内のどこの部分が活発に動いているかが読めるようになったため、経済行動についても脳科学の知見から分析が可能となり、さらに新しい「神経経済学」という分野が生まれている。

目次

はじめに――「脳のトラップ」を知ろう
「直観」は頼りにできるのか
「脳のトラップ」のメカニズム
有益な行動への道を開くために

パート1 まずは心の準備体操

1 予言どおりに銀行は倒産した――予言の自己成就
予言が現実のものになるとき

2 つらい検査が快適になる方法――ピーク・エンドの法則
「冷めた頭」と「熱い頭」の判断は一致しない
幸福な「記憶の錯覚」への誘惑

3 一ドル買うのにいくら払うか?――コンコルドの誤謬
エスカレーションのトラップ
できるだけ早く降りることだ

4 「まだ半分もある」と「もう半分しかない」――フレーミング効果
あなたならどっちのグラスを選ぶ?
「これほど心地よい結果はない」
「ダブル・フレーミング」のトラップ

パート2 あまりに人間的な脳

5 表が出たら私の勝ち、裏が出たらあなたの負け――基準値の誤り
「冷水の審判」としての魔女裁判
「少年犯罪者」の罪は親のせい?

6 「ホットハンド」の持ち主を探せ!――大数の法則
「月の魔力」に魅了された人
下手なギャンブラーの考えること
小数の法則の定理と命題

7 マリアの職業を当てなさい――代表性のマジック
「清き一票」はだれに?
確率の計算は抜きにする

8 偶然にも規則があるはずだ――偶然に秩序をみる
「秩序」や「構造」は頭のなかだけにある
三回Cが続いたら偶然か
弾丸がつくった穴のまわりに的を描く

9 「タバコはがんの原因になります」――原因と結果の相関関係
「原因がわかる人は幸せだ」
見つけたいものを発明する

10 指紋もDNAも確実ではない――確実性効果
犯行現場に残された指紋…
リスク・ゼロの魔力
人の命を脅かす脅威をどう考えるか

11 ショッキング度で決まる重大事件――統計より感情
頭に浮かびやすいかどうか

12 バーゲンセールの「からくり」――アンカリング効果
偶然の数字が「アンカー」になる
いちばん高い商品から見せる
「アンカー」には「アンカー」で対抗する

13 見えてはいても、見ていない――注意力の欠如 その1
「スクリーン」での奇妙な変化
人が入れ替わったことに気づかない

14 バスケットのコートにゴリラがいた?――注意力の欠如 その2
着陸直前…目の前の飛行機が見えない!
広告のテクニックはさらに高度に

15 「あらゆる病気と事故のための保険」――注意の焦点化効果 その1
「パック開きの原理」のトラップ
診断にもいろいろあって…
何に注意を払うか

16 宝くじが当たった直後は幸せだけど――注意の焦点化効果 その2
宝くじ当選者の幸福度を調査する
「豊かな」国の国民は幸福か

パート3 集団のなかでの困った判断

17 他人には辛く、自分には甘い――帰属のエラー
女の子を好きになった理由
車の渋滞に巻きこまれたとき

18 うぬぼれ屋の言い訳――自己奉仕的バイアス
失敗したときの「言い訳」をつくる
自分により大きな「責任」があると思う

19 「愚か者の親玉」はリッチになる――集団の知恵
「平均」顔の美しさ
みんなの選んだ数字の平均の三分の二を当てる
「合理的な投資ほど危険なものはない」

20 占いはどうして当たるのか――バーナム効果
占いを信じることは望むことをみつけること

21 そう考えない人はどうかしている――フォールス・コンセンサス効果
ホモ・エコノミクスからホモ・サピエンスへ
自分に似た他人をつくりあげる
自分の意見を「常識」と言いたてる人

22 みんながやっているから――群れ効果
「群れ効果」が生み出すバブルと恐慌

23 イラク戦争はこうして始まった――集団思考
キューバ侵攻作戦は「責任不在」
「イエスマン」になってしまう
イラク戦争を始めたのはだれか

24 こっちの仲間はダントツだ――集団規範
クック船長は「神」になった
別の集団に属するという理由だけで
仲直りへの道は共通の目的
スポーツ精神の裏にあるもの

25 あっちのひとはすべて凡人――他の集団への偏見
グループに属するという感覚
顔写真を見せられたときの反応
一瞬のうちに引く引き金

26 高いワインのほうがうまいわけ――ハロー効果
ギリシャの七賢人、ビアスの進言
有能な商売人なら知っている「ハロー効果」

27 ペニスは一〇人中九人が平均より長い!?――自信過剰
テストの成績と自己評価
「自分を知ること」のむずかしさ

28 強く願えば実現する――願望的思考
ベルリンの壁を崩壊させたもの
願望的思考の功罪

29 正しい病名の診断は「あとから」つく――後知恵
イラク戦争でテロリストが増えた
「それならとっくに知っていた」
「結果」を知っている法廷の判断
病院のなかでも「後知恵」がはたらく

30 目撃者の証言は「作られる」――偽りの記憶
目撃証言の信頼性

31 いらない枠を作ってしまう――無意識のいたずら

32 発言するのは最初がいい? それとも最後?――順序効果
皇帝クラウディウスの忘却
公開討論会で話す順番

パート4 いざ、決断のとき

33 ダイエットは明日からはじめよう――プランニングの誤り
コノンの千里眼

34 リターンを考えすぎる人、リスクを考えすぎる人――欲深と尻すぼみ
投資の仕方が感情を圧迫する
株式と債券の違いを神経経済学がつかまえた
伝説の人物ジョージ・ソロスの場合

35 都合のいいことだけを覚えている――明るい記憶
自分の選択は「正しい」と思う
ポジティブにみるかネガティブにみるか

36 今のままがいちばんいい――現状維持
ドナーカードにサインする
南アフリカのエイズ政策は転換できるか
生活に忍びよる「現状維持」の影
ハイデガーとカントまでも…

37 読みたいように読んでしまう――先入観のトラップ
「ノー」には目をつぶる
ジダンの頭突き
ポケット版の「悪魔の弁護人」

38 サルにならって取引をする――損失回避性
オマキザルの実験
マンションが売れない理由
一〇万円もらわないと五万円の損に賭ける気がしない

39 「あの飛行機に乗ってさえいたら」――後悔の理論
ジャムの種類が増えたら売り上げが落ちた
オランダ宝くじの大人気の理由
残念な気持ちは実際より想像したほうが大きい
「ミラー・ニューロン」の大発見

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

KAZOO

26
私はどうも行動経済学というよりも、もう少し心理学的な要素が強い感じがします。根本的な行動の基準となっているのは経済的な要因が大きいのかもしれませんが、集団の中での行動など、行動心理学などといっても当てはまるのではないかと思います。データとの相関関係はいつも問題となるのですが、確かに傾向値としてはあるのも知れませんが、それがすべての基準かというと少し疑問が生じます。2014/06/28

加納恭史

25
札幌は今日も大雪で大荒れなので、まだ十分に書けないが、まあ、スタートだけは出来る。この本は行動経済学の神髄を脳科学と共に語っている。だから「神経経済学」を含んでいる。だから2010年から最先端の経済学なのです。直感の分析に優れており、更に後半は人間の集団のバイアスの罠「トラップ」の解説に大変に優れている。全編にわたって「脳のトラップ」について、詳細に語られている。行動経済学の基本、特にその権威ダニエル・カーネマンのヒューリスティクス理論に基づいて語っている。当面にこのような本は他の追随を許さない。 2022/02/22

シオウ

18
前作を読んでから何年経っていることか...ようやく読了。行動経済学の面白さを教えてくれた「経済は感情で動く」の続編。直感で決めた、無意識に動いてた、正しいと自信を持って進んだ...自分の知識や経験に基づいていると思っていたこれらは、実は脳の働きによるもの。著者は脳のトラップと呼んでいる。しかもそのほとんどが客観的に見ると愚かとしか言いようのないもの。あぁ、でも、だからこそ面白い。トラップを知れば回避も出来る。世の中、他人、自分に対する見方が変わる。2020/05/16

手押し戦車

18
物事を決断する場面で心理的に合理的な計算をし、感情も生まれ体験や記憶、直感、信頼感など多岐にわたり意思決定をする。心の中にある合理性と感情は常にバランスが取れ、自分にとって満足度が上がる限定合理的な判断をする。人間にとっての満足は物質からもたらされる物欲と感情からもたらされる快があり、二つの効用を最大化して行く事を目指している。人は感情を含めた意味で合理性を求めて、感情は自分達のより良い意思決定をする利他的に重要な役割を担っている。世の中の常識で感情を作り自分に都合良くすり替えてしまい周りに流される2015/02/10

LOVE弁慶

9
やっと読み終わった。避けることの難しい脳のトラップ。チョット知っているだけでも色んな決断時に役に立つかも。2013/03/31

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