内容説明
一連の事件当時にオウム真理教に在籍していた一般信者たちが、入信のきっかけ(オウムの魅力)から、事件を挟み、どのように教団や麻原彰晃、そして事件や社会と向き合い、生きてきたかまでを追った証言集です。また、家族と対立して家を出た麻原の四女の告白もあります。編者の青木氏は、サリン事件の被害者たちの手記集も編集しており、被害者と信者それぞれの「15年」を考察できる数少ない人物として、元信者たちから貴重な証言を引き出しています。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
もちもちかめ
20
元オウム信者のインタビューと、最後に麻原四女のインタビュー。著者も言うとおり、何か違うし全く何も分かってないしと反論したいのをグッとこらえる読書でした。いや、家で独りだったときは、大声でバカかお前ーと叫んだけども誰にも伝わらずむなしい。麻原四女、ふつーに読むとおお、この人は大変ないじめに遭ってむしろ可哀想と思えるのですが、私の尊敬する江川紹子さんの後見人辞任の下りでハッとして、四女をググったら結構な玉だと分かり、また騙されてしまい悔しいし恐ろしい。悪が悪で、我々とは別の次元で厳然と存在するの根拠ね。2019/03/11
さえきかずひこ
14
麻原四女を含む7人のオウム真理教関係者のインタビュー集。本書の中には明記されていないが読んで内容から推測する限りでは、"80代・女性・主婦"は"1968年生まれ・女性・宗教団体"の母親だと思われる。どのインタビューも興味を引く内容だが、巻末に麻原四女のインタビューを置く構成はインパクトがあり印象的で、凶悪犯罪者の家族、とくに子供のような立場の弱い人物が、いかに過酷な環境で差別と不条理に苦しみながら生きてきたかが率直に述べられている。オウムが象徴するこの社会の諸問題は将来のわが国にも引き継がれていくだろう。2018/11/20
西澤 隆
6
いろんなことを内省的に考えるひとは明快な答えに惹かれる。だけど神秘体験も含め「真実を知りたい」ひとが、陰謀論に簡単に与したり「ムー」を熟読する方向に行ってしまったりするのを見ると例えばプチ鹿島が言う「教養としてのプロレス」つまり「すべて嘘だと嗤うことなく、すべて真実だと盲信もしない」現実との接し方があれば、こんなことにはならないのになと惜しく思ったりも。そんな思いで読み進め、最終章の松本家四女の述懐で「これはまったく異質の体験なのだな」と実感する。「自ら求める」か「与えられてしまった」かは大違いだな、と。2018/08/17
キテル
3
「信仰心」日本人には身近ではない言葉。たった数名の元信者の語る話を「本当の事」だとして、なんて偏った人の集まりなんだろうと驚く。誰しも「自分は特別」No.1じゃなくてもonly1。なんて思っている時期もあれば、口には出さないが当たり前だと思っている人もいる。この元信者たちは人とは違う自分に陶酔し宗教をその象徴こそが自分を分かってくれている、自分を理解してくれているから「ホンモノ」みたいな自己愛を感じる。イワシの頭を拝み祭り上げる「人とは違うから周りと上手くやっていけない私たち」が分母となる。正直理解不能。2017/01/17
海
3
以前読んだ麻原彰晃の4女の話もあった。他の人の告白を読むと、みんなやけに小難しいことを考えていて、だからこそ超常現象とかカルトとかそっちの方に興味を持っちゃうんだなあと思った。入信当時や出家していた時の話を冷静に語っているように見えるんだけど、おそらく私のような何も考えなしのグータラ人間から見ると、まだなんかちょっと違うぞー、と思ったり。2013/08/09