講談社文庫<br> しんがり 山一證券最後の12人

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講談社文庫
しんがり 山一證券最後の12人

  • 著者名:清武英利【著】
  • 価格 ¥968(本体¥880)
  • 講談社(2019/11発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784065178911

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内容説明

負け戦のときに、最後列で敵を迎え撃つ者たちを「しんがり」と言います。戦場に最後まで残って味方の退却を助けるのです。
四大証券の一角を占める山一證券が自主廃業を発表したのは、1997年11月のことでした。店頭には「カネを、株券を返せ」と顧客が殺到し、社員たちは雪崩を打って再就職へと走り始めます。
その中で、会社に踏み留まって経営破綻の原因を追究し、清算業務に就いた一群の社員がいました。彼らの一部は給与も出ないまま、「しんがり」を買って出て、無一文に近い状態になっています。この中心にいたのは、会社幹部に裏切られながら業務の監査をしていた人間たちで、証券会社では「カネを稼がない、場末の連中」と陰口を叩かれていた人々でした。・・・
山一證券の破綻を、記者会見で号泣した社長の姿とともに記憶している方も多いことでしょう。「社員は悪くありませんから!」という絶叫でした。
社長までが泣く、その大混乱にあって、「しんがり」の彼らはなぜ筋を通そうとしたのでしょうか。逆襲なのでしょうか、意地でしょうか、優しさなのでしょうか。
山一が消えたあとも、彼らは不器用な人生を送っています。しかし、決して不幸ではないと言います。「会社の破綻なんて人生の通過点に過ぎないよ」「潰れたって、何とかなるんだ」と。
一生懸命生きていれば、きっと誰かが見ていてくれる。――そんな彼らのメッセージは、どんな会社が潰れても不思議のない、リスク多き時代を生きる人々の励ましとなるのではないでしょうか。

目次

序 由緒正しき貧乏人
プロローグ
1 場末部署
2 崩壊の予兆
3 巨額の債務
4 山一壊滅
5 特命チーム結成
6 社内調査
7 闇の深淵へ
8 蹉跌の原点
9 撤収
10 殿軍兵の15年
エピローグ

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

hatayan

46
1997年に破綻した山一証券の最期を看取った社員の知られざる奮闘を記した名著。単行本は2013年刊。2015年に引き続き2019年に2度目の文庫化。稼ぎ頭だった営業の部署に比べると地味でさえない内部管理のスタッフが、会社の不正が常習化するまでの原因と経過を当事者から粘り強く聞き出し緻密な報告書を取りまとめるまで。2019年版では、清算業務を支えた社員が鬼籍に入り始めていることが記されるほか、著者と同世代の池上彰氏が熱く温かい解説を寄稿。これまで『しんがり』を読んだことがある者でも新たな発見のある一冊です。2020/06/02

penguin-blue

46
就職活動時、山一は人気企業ランキング上位にいて数年後に破綻するなんて思いもしなかった。あの頃からなくなったり低迷した企業はけっこうあるけど、会社の運命なんてわからないものと印象付けた走りだった気がする。会社を立ち上げ育てるのも大変だけど、人が作った会社の終焉に立ち会い、それを綺麗に終わらせるのも大変なこと。むしろ光が当たらず得る果実がない分、そこに力を傾けるのはより大きな意志の力が必要なのかもしれない。やや劇画帳にすぎるきらいはあるが、会社員としては身につまされ、しんがりをやり遂げた彼らを心から尊敬する。2020/02/03

kk

18
山一証券が自主廃業に追い込まれたあと、破綻原因の調査と清算業務のため、最後の最後まで修羅場に踏み止まった人たちの物語。沈む船から逃げていく上役や再就職のために去っていくかつての仲間たちの姿を目の当たりにしながら、なぜ彼らは敢えて持ち場を捨てなかったのか、何が彼らを支えたのか。企業であれ何であれ、世の中、本当に酷い人々と立派な人々がいるんだなと、今さらながら感心させられ、また組織の中で生きることの難しさを痛感させられました。「サラリーマンの哀しいほどの律儀さと志操の高さ」に、kkも圧倒されてしまいました。2021/06/16

4丁目の父ちゃん

11
社員が頑張ってもこんな経営陣がこんなことをしていれば自主廃業もやむ終えないだろうが。多かれ少なかれどこの会社でも私服をこやす役員さんがいるのだろう、半澤直樹が一社に一名いなければね(笑) しんがり12名、お疲れ様でした。2020/08/17

nob

7
山一證券破綻後「場末」の社員を中心に結成された社内調査チーム。他の社員が保身に走る中、不正の真相を、地道なヒアリング(尋問ではなく)で明らかにしていく。それは正義感でも、復讐心でもなく、義務感に近いもの。「人の山一」の、最後の現れ。一流企業において、こんな組織ぐるみの不正行為が見過ごされてきたということには、改めて戦慄。関与した人がみんな悪人だった訳では無いだろう。大組織の奥に入っていけば、誰でも不正に手を染める可能性があるのだとしたら。2022/04/29

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