内容説明
アメリカで暮らすユダヤ人家族が、中東で発生した大地震と戦争を背景に、それぞれが新たな一歩を踏み出す姿をウイットと哀しさを交えて描く崩壊と再生の物語。『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』の著者が贈る、現代アメリカ文学の新たなる傑作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
121
米文学は家族を描いている、というのはユダヤ人の手にかかってもそうなのだな。タイトルの意味がわかってから、特にその思いを強くした。家族を共同体として考えると、互いによそよそしくても一単位として機能する。その中で、夫婦の愛は、特に性に絡むことは、そんなに大きな割合を占めるだろうか、というのが抱いた違和感。国や民族の違いでなく、作者が男性であることで考え方の差異があるのかもしれない。一番共感したのはサム。両親を見ていて、この二人は離婚するかもという怖さはわかる。てんでバラバラな話で、心は温かくなる不思議。2020/02/09
ヘラジカ
49
社会における最も卑小な共同体に訪れるありふれた悲劇を、世界的な規模の危機と隣接して描いたダイナミックな家族小説。崩壊の周縁を、螺旋を描くようにしてぐるぐると廻り続けるユダヤ人一家。家族同士の間に横たわる歪んだ倫理観や醜い人間性は、読んでいて決して気持ちの良いものではない。しかし、だからこそ生の共感を呼び起こすのだとも言える。作中でも名前が挙がっていたフィリップ・ロスの作風やテーマに非常に近いものがあると感じた。古典性と現代性を併せ持つ力作!手が筋肉痛になるかと思ったけど読んでよかった。2019/10/28
てっしー
21
ユダヤ人のアイデンティティに関する物語という誘い文句に惹かれて大長編気合い入れて読んでみましたが、ガチの文学で読みこなすにはまだ読書家レベルが足りなかったです。 それでもフォアさん、一文一文にかける熱意は十分伝わってきて良かったです。 もう少し読書家レベルが上がったらまた再読してみたいですね。2020/06/08
アヴォカド
10
ポップで、お下劣ネタも多め。全く枝葉だけど、カート・コバーンって今はカート・コベインなのね? 次作は気候変動に取り組んだノンフィクションということで、読んでみたい。気候変動や環境問題は、小説界においても最早大きな潮流なのね。2019/12/01
uniemo
7
レビューをみて興味を持って図書館に予約したのですが、想像以上の本の厚さで腕が痛くなりました。正直集中が切れてしまって理解不足な部分もあるのですが、現代のユダヤ系アメリカ人のカルチャーや正直な会話部分はやはり興味があったので最後まで読むことができました。2020/01/31