織田信長と戦国の村 - 天下統一のための近江支配

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織田信長と戦国の村 - 天下統一のための近江支配

  • 著者名:深谷幸治
  • 価格 ¥1,870(本体¥1,700)
  • 吉川弘文館(2019/11発売)
  • ポイント 17pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784642058575

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内容説明

東海から畿内周辺におよぶ広範囲を支配した織田信長。その地域支配はいかなる形で行われたのか。近江を事例に、信長の支配開始や各郡を管轄した佐久間信盛・柴田勝家の行政、地域寺院の役割、信長直領(じきりょう)増加と明智光秀の立場などを解明。また、「元(げん)亀(き)の起(き)請(しょう)文(もん)」を取り上げ、支配される村落の側からも政権の特質に迫るなど、新視点で描く戦国時代史。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

nagoyan

15
優。政権の「本国」尾張・美濃ではなく、征服地である「近江南部回廊」の地域支配を観察することにより、織田政権の地域支配の歴史、特色を描く。本国濃尾と京都を結ぶ要地であり、したがって、当初から織田家重臣たちによる分担管轄が行われた。それは所領として一円支配を認められたのではなく、郡単位の行政軍事責任者、その中に存する直轄領の代官、そして給地の領主という複雑な立場であった。彼らの支配は、地域社会の現実に柔軟であった。柴田の北陸移転、佐久間の改易後は、政権直轄領に組み入れられた。革命児信長の印象は覆るであろう。2020/07/11

六点

14
最近、随分と織田信長は、保守的な人間であったと言われるが、その嵐のような時代を嫌というほど味合わせれた湖東の村落に残る史料から描写した「ちょっと変わった織田信長」である。凡そ紛争地域で、短期間に治安を回復しようとすれば、旧支配層の下、被支配層の上の集団の上に乗っかることが常道であるが、織田信長も当然その常道を行き、延暦寺や浄土真宗と関係が悪い寺院と結び、また、佐々木氏庶流であっても降服した土豪層を温存しその上に重臣や自己の代官を置いて支配を行っている。美濃尾張と京の中間を安定させることが重要だったのだろう2019/11/20

MUNEKAZ

12
信長の地域支配について、上洛後の本拠地となった「近江南部回廊」をメインに読み解く。元亀の騒乱を機とした重臣たちによる分担支配から、柴田勝家の越前転封、佐久間信盛の追放を経て、安土城を中心とする信長直轄領が設定される。ただその直轄領でも一円的支配が行われたわけではなく、一つの土地に複数の知行主が徴税権を持つ中世的な支配が行われており、信長もその徴税者の一人にすぎなかったとする。「革新的」ではなく、当時の慣習・常識に従って支配を行った信長の等身大の姿がうかがえる。2017/11/30

アメヲトコ

9
信長政権の近江支配の在り方を分析する一冊。起請文などの史料の読解から重層的な支配関係、兵農未分離な村落など、中近世移行期の過渡的な状況が浮かび上がってきます。近江の郡支配から見る安土城の位置づけ、本能寺の変のもう一つの背景の読みなども面白い。2018/04/25

kawasaki

6
多くの本では「信長は近江を支配しました」と書いて済まされることがら。そもそも「地域」を「支配」するとはなんぞや、というところから始まって、「戦国の村」に焦点を合わせていく。さまざまな約束事や獲得物が積み上がり、利害と人間関係が結びつき絡み合った中世的混沌。「信長は世間的イメージと違って結構保守的だぞ」とはいうけれど、支配体制構築の試みを見るといくらかの「先駆性」を思う。多くの部分はローカルで微視的な話(それが面白い)なのだが、そこを固めた上で信長の権力構想や「本能寺の変」の可能性まで論じる広がりも爽快。2019/07/07

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