内容説明
1980年代後半、金融自由化・国際化の中、地価と株価が急上昇し、日本全体は陶酔的熱狂(ユーフォリア)に浸った。当時、住銀、興銀、野村、山一などの銀行や証券会社と大蔵・日銀、政治家、「バブルの紳士」が繰り広げた狂乱の時代とはなんだったのか? 現場を見続けた「伝説の記者」が日本独自の資本主義システムまで議論を深め、「失われた20年」と呼ばれるデフレを招いた原因を捉える〈平成〉史決定版。(解説・勝英二郎)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
誰かのプリン
15
プラザ合意→円高→土地、株バブル経済と思っていたらどうやらそんな単純ではなかった。政府の円高対策の怠慢、大蔵省の判断ミス、銀行、証券会社の思惑が複雑に絡まって起きた現象だったのですね。2020/05/08
masabi
15
【概要】経済記者が見たバブルの隆盛と破滅、バブルを駆け抜けた人物を記す。【感想】ある問題に対する対処法が別の問題を生み出す種になる経済政策の難しさを感じた。 始めは本業一筋な一人でも真っ当な商売の利益以上の利益を簡単に出せる財テクが周囲で隆盛を極めると誘惑に抗えないのだろう。政治と制度上の不備がバブルの種を蒔き、業務改革を避け容易な道に逃げた銀行証券会社がバブルを膨らませた。 2019/05/13
かんがく
14
平成生まれの私にとっては馴染みのないバブル。そのバブルの中で動いた経営者や官僚たちにフォーカスをあてて問題を明らかにしていく。ある程度、バブルと金融の基礎知識が無いとやや読みづらい。ただ、バブルは証券会社と不動産会社が悪いという一般論に疑問を呈し、バブルを日本型資本主義の限界、第二の敗戦と捉える著者の意気込みは伝わってきた。経済、金融についてより学び、現代日本に分析を重ねていく必要を感じた。2019/07/26
Francis
10
1980年代から1990年代の日本のバブル経済の総括本。私もまさにバブル世代であの頃は学生でもスキーに行くとか車を持つのが当たり前という恐ろしい時代だったのだが、そんなことが長続きするはずもなく1991年を境にあっけなくバブル経済は崩壊、失われた20年に突入してしまう。他の書評では難しいという声が多いが経済学部出身で今も経済学に関心を持っている私には面白く読めた。最後の章でバブル経済を止めた当時の日本銀行総裁三重野康さんが出てくるが、私が卒業する前の年に母校中央大学に講演に来られたことを思い出した。2019/05/11
nishiyan
9
元日経新聞兜町担当記者が自身の取材を元に振り返るバブル顛末記。バブル前史として、三光汽船によるジャパンライン買収事件からスタートするのは意外だった。これは恐らく戦後派経済人による既存経済界への挑戦の末というのが、バブル期を振り返るに相応しいからなのだろう。またバブル期のいわゆる怪紳士たちも登場するものの、ここで指摘されているのは有効な手を打てなかった大蔵省や日銀の問題である。宮沢首相と三重野日銀総裁のときに公的資金投入が実現していたら、バブル崩壊後の日本経済の成り行きは変わっていたかもしれない。2019/05/13