時間は存在しない

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時間は存在しない

  • ISBN:9784140817902

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内容説明

時間はいつでもどこでも同じように経過するわけではなく、過去から未来へと流れるわけでもない──。“ホーキングの再来”と評される天才物理学者が、「この世界に根源的な時間は存在しない」という大胆な考察を展開しながら、時間の本質を明らかにする。本国イタリアで18万部発行、35か国で刊行予定の世界的ベストセラー!

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

鉄之助

454
表紙のシンプルさとインパクトに惹かれて、読んでみた。著者は「ホーキングの再来」と呼ばれ、世界的ベストセラーという宣伝文句もうなずける。山地に比べ平地では、ゆっくりと時間が過ぎる、という。時間はどこでも同じようなスピードでは過ぎない、にグッときた。時間とは何か? 深遠なテーマだが例えが詩的、文学的。すんなり入っていける。「”絶対時間”は存在しない」という信念を守るため、ニュートンは自分のサインからあえて時間のtの文字を外した。これまで当然、と思われた先入観を打ち破る視点が、数多く展開され刺激的な1冊だった。2024/08/17

ろくせい@やまもとかねよし

283
現代科学で定義される時間を解説し、人類共有の概念的時間を考察。大変な良書。訳者の筆力にも敬服。ニュートン以来絶対的値とされた時間をめぐる科学的議論を辿る。近代質量と速度で決まる時間。近現代質量と速度は重力場で変化する発見から時間を絶対的な値で取れない問題が。そこで質量や重力場を粒子の物理量と捉え、その相互作用の変化を把握する乱雑さエントロピーを用いる。つまり高いエントロピーは集合する多数粒子が存在し結果として時間が生じると。ほぼ同じ時間を共有できる地球空間。過去は存在するが、未来は人間脳に存在すると考察。2022/01/01

まーくん

229
う~ん消化不良!アインシュタインの相対論に基づく”伸び縮み”する時間・空間は、初めは驚いたが納得している。著者の説く時間像もいつか納得するようになれるかな?本書に出てくる数式はΔS≧0一本のみ。つまりエントロピーは増大する。これが時間の方向。数式がないと何故か哲学的になり、過剰な修飾や比喩が満ちて詩的になる。(宇宙の深淵に触れるようで嫌いではないが…)宇宙全体に共通な「今」は存在しない。時間は出来事の連なり。人間の意識の側からも時間について迫っているが、人や生命がなくても時間はあるのではと思ってしまう。2020/01/10

やいっち

200
アインシュタインの相対性理論は量子力学との愛称が悪い。その欠点を克服する理論として、超紐理論と著者らの研究するループ量子重力理論(時間tのない理論)とがあり、侃侃諤諤の議論が闘わされている。が、本書は肩に力を入れずに読めるよう工夫されている。数式は本文中にはエントロピーが増大することを示す単純(だが深淵)な式一つだけ。このエントロピーの増大こそが時間の存在を傍証する。形(秩序)あるものは壊れる。その逆はありえない。過去、現在、未来。記憶……思い出。物理学的には時間は存在しない(しなくても構わないはず)。→2020/03/06

旅するランナー

184
時間に関する物理学的詩的哲学的禅問答。物事の本質を分かりやすく難解に語りかけてくる。本質だけが残された世界は美しくも不毛で、曇りなくも薄気味悪く輝いている。時間は存在しない。この事実に戸惑い続け、直感的に把握することが難しい。僕たちは、マティスが描くアリストテレスとニュートンとアインシュタインによるダンスを見ながら、踊り続けるのだ。少なくとも、この本を読んだ後は、脳内エントロピーが増加し、時間に対する感じ方が変化変容変換します。2020/02/19

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