内容説明
1972年、渋谷陽一、橘川幸夫、岩谷宏、松村雄策の4人の創刊メンバーでスタートした「ロッキング・オン」。レコード会社側からの一方通行の情報を伝えるファンクラブ的音楽雑誌と一線を画し、リスナーがミュージシャンと対等の立場で批評するスタンスで支持を集め、いまや音楽雑誌の一大潮流となった「ロッキング・オン」は、いかなる場から生まれたのか。創刊メンバーの一人である橘川幸夫が、創刊の時期から約十年の歩みを振り返るクロニクル。ロックがいちばん熱かった時代、70年代カウンターカルチャーの息吹を伝えるノンフィクション。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
山田太郎
62
増井元編集長に続き、今度は創刊時の話。あっちより真面目というか固め。読者歴30年になるけど、さすがに創刊時は知らない。最近あんまり面白くないというか惰性で読んでる。初期衝動というか初めの誰にでもケンカ売るような感じがやっぱり面白い気はする。古いロッキングオン欲しいんだけど、どこかで売ってないかな、東京行かなきゃだめかな。2016/12/09
ひめありす@灯れ松明の火
48
あの頃、彼らは最強の「運命共同体」だった。ロッキング・オンといえばもう私がそれを目にする頃にはロッキン・オン・ジャパンなどに代表される勝算のあるビジネスモデルでした。そんな彼らの若い頃、今はもうロックの現場から離れた人による日本のロック黎明期のお話です。私達が今親しんでいるものに確実に繋がっている。力一杯「ひーたーちーなーかー!!」と叫べるのは、彼らが言いたいものをいう力をくれたから。だけど今のロックは本当にそういう力を持っているかな?格好だけ、スタイルだけになっていないかな、そんな事も少しだけ思いました2017/01/31
今庄和恵@マチカドホケン室/コネクトロン
12
ROの会会員だった、という黒歴史の私です。ミニコミもつくってましたよー。この方の独特の文体、信者さんもいっぱいいるかと思われますが、渋谷陽一を斜め上にあおぎみて、という立ち位置の取り方も受け継いでいるような気がして。2017/01/27
nizimasu
9
ロッキンオンは雑誌としての役割は90年代に終わっているけどその後にフェスの会社としての手腕の萌芽が読み取れるかもしれない。それは徹頭徹尾、渋谷陽一のこの会社で食っていくというオーナーならではの矜持でもあり取り次ぎとの交渉の巧みさにもあったりして、その中で創刊当初のかなり個性的な面々の中でも橘川さんも印刷や販売面で中心にあった人物でもある。そしてその個性的な執筆者のエピソードなんかも添えられているし、創刊当時のミニコミの頃の目次なんかもこれは懐かしい。結構デビッドボウイなんかが注目された頃とは隔世の感あり2017/02/13
amanon
8
60年代末から70年代初頭というのは、とんでもない時代だったんだな…と改めて思うことしきり。ネットやスマホはおろか、電話でさえそんなに普及していない時代に、若さとやる気だけを武器に当時のジャーナリズムに殴り込みをかけた四人の若者…渋谷陽一が語る初期の苦労話とはかなり趣が異なっているが、とにかくそのサクセスストーリーには手に汗握るような臨場感が溢れている。そして、こんな個性の強い人間がよく一緒に仕事をしていたな…と思わせるエピソードの数々。とりわけ他のメンバーとかなり年が離れている岩谷宏の存在感が不気味。2017/02/27