創元ライブラリ<br> 死者の百科事典

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創元ライブラリ
死者の百科事典

  • ISBN:9784488070779

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内容説明

旅先で訪れた図書館で、世界中の無名の死者の生涯だけを記録した書物に出会い、父親の項を読みふけるという表題作をはじめ、音楽的手法、絵画的手法、映画的手法と、自在に変化するスタイルで描かれた死と愛をテーマとする、幻想的で美しい、しかも皮肉な味わいをもそなえた九つの物語。アンドリッチ賞受賞作。【収録作】「魔術師シモン」/「死後の栄誉」/「死者の百科事典」/「眠れる者たちの伝説」/「未知を映す鏡」/「師匠と弟子の話」/「祖国のために死ぬことは名誉」/「王と愚者の書」/「赤いレーニン切手」/「ポスト・スクリプトゥム」/訳者あとがき=山崎佳代子/解説=松山巖

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

拓也 ◆mOrYeBoQbw

32
幻想短篇集。マジックリアリズム。ダダイズム。ユーゴスラビアの作家ダニロ・キシュによる1983年の短篇集。死と愛をモチーフに、グノーシス、掟の門、ビブリオマニア、事象の反復と言ったテーマを扱っています。編まれているのはボルヘス、ベケット、ナボコフ等の技巧を深く理解し、更に自身の経験と知識から再構築された短篇の数々。それはまるでミルチャ・エリアーデ&ヨアン・クリアーノ師弟の描く小説に似た味わいもあります。いわば読む度に新たな発見がある、何度も繰り返して読みたい一冊ですね(・ω・)ノシ2019/05/08

ふるい

20
すばらしい短篇集。死は、不可避である。死に相対した時、遺されたものに出来ることなどあるのだろうか。あるいは、文学者には。そんな問いかけに満ちているように思われた。無名の死者たちの記録だけが記された本「死者の百科事典」、少女が持つ鏡に映る家族の未来「未知を映す鏡」、シオン議定書に端を発した血塗られた歴史を下敷きに描かれる「王と愚者の書」、が特に好きだ。2019/02/18

timeturner

13
『薔薇の名前』より手強い。短編は読んだその場で背景を理解する必要があるから。キリスト教、ユダヤ教、哲学、神話、欧州史等広範な知識なしでは理解不能。奇妙な設定に惹かれて読むことは読めても、作者の意図は慎重に隠されているのではという疑いが残る。2019/02/07

刳森伸一

10
死にまつわる短篇小説を9篇所収。いずれも濃密な短篇でそれぞれが異なる文体と物語でありながら、全体として統一感のある一篇の長篇小説のよう。ハズレは一切なく全て面白いが特に表題作が良く、ずっと読んでいたいとすら思った。2019/01/19

まさ☆( ^ω^ )♬

7
死をテーマにした短編集。解説を読んで成る程と思ったが、初読では結構難しくて、理解出来なかったものも数編。表題作の「死者の百科事典」は良かった。2回読んだ。「魔術師シモン」「死後の栄誉」「眠れる者たちの伝説」「未知を映す鏡」までは何とか読めたが、これ以降はちょっと難しかった。しかし、時間を置いてまた挑戦したいと思える作品だった。2024/03/26

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