日本経済新聞出版<br> 純粋機械化経済 頭脳資本主義と日本の没落

個数:1
紙書籍版価格
¥2,530
  • 電子書籍
  • Reader

日本経済新聞出版
純粋機械化経済 頭脳資本主義と日本の没落

  • 著者名:井上智洋【著】
  • 価格 ¥2,530(本体¥2,300)
  • 日経BP(2019/05発売)
  • ポイント 23pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784532358181

ファイル: /

内容説明

2030年頃にAIは、人間と同等になったり人間を超えたりはしないものの、人間の知的振る舞いをぎこちなく真似る程度には進歩している可能性があります。人間の知性に近いそのようなAIを手にしたものが、次世代の経済的覇権や政治的覇権を手にするでしょう。
それゆえ、AIの進歩の遅れている日本のような国は没落し、進んでいる中国のような国は飛躍的に経済力や軍事力を伸ばして、覇権国家となるでしょう。AI時代に世界は大きく分岐するのです。

本書は、AIが持つ暴力的なまでの巨大な力の正体と、それが一体どんな便益や害悪をもたらすのかを明らかにします。
AIは爆発的な経済成長をもたらすとともに、多くの雇用を破壊し格差を拡大させるかもしれません。
私達の生活を便利にし豊かにするとともに、私達を怠惰にして堕落させるかもしれません。
犯罪のない安全な社会とともに、人の悪口や不道徳な行い、政府批判を一切許さないような偏狭な監視社会をもたらすかもしれません。

第1章は導入で、第2章以降を読み進めるのに必要な基本的な知識を提供する役割を担っています。
第2章では、AIがどのような技術でどこまで人間の知的振る舞いを真似ることができるのかについて検討します。
第3章では、AIがどのように人々の雇用を奪ったり、格差を拡大させるのかを論じます。
第4章では、さらにそれを経済理論に基づいて議論します。AIによる爆発的な経済成長の始まりを、本書では「テイクオフ」(離陸)と言います。テイクオフの時期には、国によるばらつきが生じます。早めにテイクオフする国々と遅めにテイクオフする国々との間の経済成長に関する開きを「AI時代の大分岐」と呼びます。
第5章と第6章で説明するように、過去に「新石器時代の大分岐」と「工業化時代の大分岐」という二つの同様の開きが生じました。これらの章では歴史的にどのような国や地域が繁栄したかということについても議論します。そのうえで第7章で、「AI時代の大分岐」について論じます。
最後に第8章で、AI時代に人々が豊かになるには、国家が何をなさなければならないのかを検討します。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

HMax

31
図書館から受け取ってすぐに返そうかと思ったが、踏みとどまって大正解。表紙の写真は昔の「コンピューター」が仕事をしている姿。第三次産業革命に乗り遅れた日本はGAFAの下請け状態で小数点一桁以下の成長率、GAFAのアメリカでさえ数%。教育に対する公的支出はOECD34カ国中最低レベル、論文数でインドにも抜かれ、人口が減る一方の日本が独自にソローの罠を脱することはほぼ不可能。純粋機械化経済に達するためには巨人の肩に乗るしかない。そのためには世界的なAI研究者を一人につき20億円くらいの報酬で5人ほど招聘する。2020/07/09

あっきー

16
✴5 サピエンス全史の読者の次の1冊を目論んだ本で文中にも引用している、AI、脳、世界歴史、中国経済、ヒッピーなど今の関心事が全部入りで自分は大満足だ、この本ではサピエンス全史など他の本のいいとこを引用していて広く浅く関連付けているので自分の断片的な知識がいろいろ繋がり広がった、その中でも川北稔の成長しなければならないという強迫観念の成長パラノイアという考えが面白そうだ、「1984」を1984年に読んだ時はソ連がモデルと思ったものだが、今一番近いのはAI監視システム「スカイネット」の中国なのかもしれない2019/07/28

izw

13
2016年出版「人工知能と経済の未来」以後、「ヘリコプターマネー」「AI時代の新・ベーシックインカム論」とAIと経済、ベーシックインカム論を展開してきた集大成のような気合の入った大著である。新石器時代の大分岐を生じさせた農耕革命を繁栄と軍拡の競合が起き人類最大の愚行だと主張する歴史観、ネオリベもアナーキズムに基づいていて、アナーキズムが現在支配的な思想だというイデオロギー観、を明快に展開する。AIが急速に進歩を遂げている状況を踏まえ、人間社会のあり方、経済のあり方を冷静に考察していて、非常に面白い。2019/06/14

みのくま

12
汎用AIの登場による「純粋機械化経済」の紹介だけではなく、壮大な文明論的視座から論が立てられており「サピエンス全史」の読後感に近い印象を受けた。また興味深いポイントも多々あり、なかでも「工業化社会は優しい」という指摘は大変興味深かった。来るべき純粋機械化経済は、ほんの少し働く人間と大勢の働き口のない人間に分化する事が予想され、だからこそBIと変動BI (ヘリコプターマネー)が必要であるらしい。しかしそうするとやりがいの調達は果たして必要ないのだろうか。このような社会の到来は現代以上のディストピアな気がする2021/05/01

Mc6ρ助

12
『日本をいまだに科学技術立国のように見ている日本人も多いし、文化や慣習が世界中から注目されていると錯覚している日本人も多い。日本は今まさに清朝末期の中国のように夜郎自大に陥っている。あるいは、落ち目であることに薄々気づいているが、だからこそ過去の繁栄にしがみつき、現実から目を背けているのかもしれない。それもまた清朝末期の社会状況を彷彿とさせる。(p349)』野党の名前を満足に覚えられないという行政府の長、国民にお似合いということかな。著者がトンデモ本と思われたがっているのではと考えてしまうのは穿ち過ぎ?2019/07/22

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/13769460
  • ご注意事項