NHK「100分de名著」ブックス 石牟礼道子 苦海浄土 悲しみのなかの真実

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NHK「100分de名著」ブックス 石牟礼道子 苦海浄土 悲しみのなかの真実

  • 著者名:若松英輔
  • 価格 ¥935(本体¥850)
  • NHK出版(2019/02発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784140817643

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内容説明

工場排水の水銀が引き起こした“文明の病”「水俣病」について、患者とその家族の苦しみを、同じ土地に生きる著者が記録した『苦海浄土』。「水俣病」という固有名にとどまらず、人間の尊厳について普遍的な問いを発し続ける一冊として、ジャンルに縛られない新たな「文学」として読み解いていく。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

壱萬参仟縁

59
昨日の政経の公害問題のところで、紹介した本。新しい文学の姿と可能性をもつ作品(007頁)。水俣病は、神経の自由を著しく害(そこ)ない、言葉を奪う病(020頁)。恐ろしいことである。長大な詩は、ときに叫び。嘆き。呪詛。そして祈りでもある(059頁)。鳥も水銀が蓄積された魚を食べます(092頁)。事件で語られたのは、肉体の痛みと精神の苦痛、呻きと嘆きが結晶になったような言葉(132頁)。石牟礼道子さんの略年譜では、3部作であったことがわかる。藤原書店の分厚い本を再読していきたい。2022/10/06

おたま

58
石牟礼道子の『苦海浄土』は以前に一度読んでいるが、その時には十分に腑に落ちた感じがしなかった。『苦海浄土』を題材にした読書会を予定しているのだが、それへの助走としてこの本を読んでみた。若松英輔の文章は、決して分かりにくいものではない。しかし、『苦海浄土』という本に接近していくその姿勢を問われているように思い、そこのところに上手く共振できるかが問題。「「読めない」のは、そこで立ち止まらなくてはならないからです。読書は旅です。むしろ読み通すことのできない本に出会うことこそ、喜びなのではないか、と私は思います」2025/01/06

ちゃとら

46
【図書館本】映画『MINAMATA』から手に取ったが、石牟礼道子さんの『苦海浄土』を読んでからにすべきだったと後悔した。2022/03/21

おさむ

36
大長編とあって名作と知りながら、なかなか読めない「苦海浄土」。その架け橋となりそうなのが、本著。批評家の若松さんが丁寧に作品の読みどころや背景、そして水俣学への発展などを説く。箴言も多い。「知性や理性が独走するとき、それはとても危うい」「近代産業におかされた世界は全ての問題は金銭に帰着すると考えるようになる」「幼い頃大人たちは学校では教えない民俗の感覚の伝統みたいなものを教えてくれた」読めば読むほど、フクシマの原発事故が重なってきます。2019/04/14

あきあかね

27
 「背負いきれないような苦難を背負ってもなお、世界は美しいと語る無名の人々の言葉」という一節が心に残った。『苦海浄土』で描かれる水俣病は、自然やそこに生きる生き物たちを侵し、人びとから言葉を奪う。こうした語りえないものたちの声を捉まえるため、小説でもノンフィクションでもない、新たな「詩」として作品を書いたと石牟礼道子は言う。 恨みや呪詛を超え、訥々と語られる、海とともに生きた幸福な過去の経験は、フランクルの『夜と霧』を想い起こさせる。言語に絶する苛烈な強制収容所での生活の中、⇒2020/06/19

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