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内容説明
かつて、鎌倉幕府の成立は「いいくに(1192)つくろう鎌倉幕府」と習いましたが、最近の教科書では「いいはこ(1185)つくろう鎌倉幕府」と教えています。ほかにも近年の研究で、従来の日本史の常識が次々と覆されています。
古代、奈良、平安、鎌倉、室町、戦国、江戸、幕末、明治……。日本史の転換点となった出来事や時代をつくった人物について、出口治明、本郷和人、伊東潤、鹿島茂、倉本一宏ら28人の執筆陣が最新の研究成果をもとに新たな論点を提示する一冊です。
【目次】
序章 通史 「交易から見れば通史がわかる」(出口治明)
第一章 古代 「前方後円墳がピラミッドより大きいワケ」(森下章司)ほか
第二章 奈良、平安 「本当は激務だった平安貴族」(倉本一宏)ほか
第三章 鎌倉、室町 「元寇の目的は中国兵のリストラだった」(杉本正明)ほか
第四章 戦国、江戸 「織田信長の意外なポピュリズム」(谷口克広)ほか
第五章 幕末、明治 「坂本龍馬は殺人の“指名手配犯”だった」(菊地明)ほか
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヨーイチ
59
本屋を覗く機会がめっきり減ってしまったが、新書の隆盛というか雑誌化の勢いは空恐ろしいほどで、多分電子読書に歩みよっているって事なのだろう。本書は文藝春秋・歴史特集に掲載された物らしく、そう言えば雑誌っぽい文章が多く読みやすい。「目から鱗」って程では無いが、歴史事象を別な角度から解説されて腑に落ちたってくらいか。おじさんとしては確かに「大化改新」って言葉が「当時の国家体制寄りの方針」を表す言葉だなぁ、と新しい知見となった。でも今の呼び方はすぐ忘れちゃう。漢字変換もすぐ出来なさそう。続く2019/01/01
skunk_c
41
玉石混淆な印象。高校時代社会科では日本史が最も苦手だったのと、仕事で最新の日本史に触れる努力をしているためか、目新しい話は少ない。「光源氏」、北条氏政の話は面白かった。本郷先生の鎌倉幕府1180年説はご自身もお書きのように、未だ少数派のようで「新常識」とは少し違う気も。冒頭の出口治明先生の江戸時代鎖国(海禁)に対するネガティヴな評価も少し疑問。一番お粗末だと思ったのは元寇の神風を否定するのに、当夜京都が晴れてたというのを根拠にする説。600km以上離れた地点の天気が同じとは限らんでしょう(笑)。2019/09/29
さきん
34
最初に通史があるが、少し自由主義寄りな見方。傭兵、硫黄、銅銭、銀と交易品で眺める歴史はこれまた新鮮。面白いのは、2回登場する西郷隆盛氏について。おおらかで器の大きい人物として知られるが、実際はそういう風に見せるように努力していることが多く、実は目まぐるしく策を練っていた大久保利通にも負けない策士であったことが分かってきている。その分ストレスを抱えやすく、吐き気を催して厠に駆け込むことも多かった模様。もう一章、良くも悪くも、西郷像に振り回される日本人について、司馬遼太郎が指摘している。2019/01/29
樋口佳之
32
「懐妊書上帳」という史料がある。仙台藩など東北、北関東の藩を中心に実施された調査だが、村ごとに懐妊している女性の名前を書上げ、それが無事出産されたか死産だったかなどを追跡調査したものだ。さらに、藩によっては出産に際して育児手当まで出している。つまり、人口調整に強い関心を示し、きめ細やかな対応2018/11/24
エドワード
31
歴史の研究は日進月歩。はるか昔に習った教科書とはかなり変わってしまった最近の学説に触れてみよう。「慶安の御触書は実在しない」そうなの!「豊臣秀吉の世界帝国思想は妄想か」確かにヌルハチは清朝を建てたな。「東大寺大仏建立は宗教改革だった」なるほど、皇室が仏教に帰依するというのは大変なことだったのね。「応仁の乱は東軍が勝った」戦争には莫大なお金がかかる話が目からウロコ!まあ時々歴史書を読んでいるのでムチャクチャ驚くことはなかったけれど、人間は多面体だとつくづく思う。足利尊氏も織田信長も相当複雑な人だったのね。2019/02/09