内容説明
日本の空き家・空きビルは、質・量ともに、世界最高の空間資源。この貴重な資源(ストック)を、われわれはどう活用していけばいいのか? 全国各地の八つの事例などを通して、人口減少社会の中に希望を見出す未来志向の方策を提示する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あすなろ
55
建物は諸々の経済的要因に対して鈍感である、と始まる。確かに考えてみればそうである。その時々の景状感、例えば景気の浮き沈みや人口減の繁栄は、民の度合いが増せば増す程鈍感度は増すであろう。で、我が国は今や空間資源大国真っしぐらだという。その箱を活かし場として遊ぶしかないのだ、と。この著者のその遊ぶという概念には些か腑に落ちぬ言葉使いなのではあるが、言うことは分かった。何かの書評か書店で以前見かけ、気になっているテーマなので読了。2019/01/13
tenori
28
「空き家を活かす」凡庸なタイトルからサブタイトルに目を移すと「空間資源大国ニッポンの知恵」と。空家や空ビルをを空間資源と言い切る感覚が魅力。ページを開けば「建物は鈍感だ」と始まり、使われなくなった建物は「脱け殻」と表現する。スクラップ・アンド・ビルドで経済を回すことは否定しないけれど、個人的にも既存活用に興味があるせいか、リノベーションやコンバージョンをポジティブにとらえる本書には共感。著者は「遊び」の要素を重視しているが、それこそが建築を、街を楽しくすることに繋がるのかも。2021/03/24
wiki
16
リノベーションの世界は、業界で一旦ぶち上げられたほどには、マーケットの展開が今のところ見られないが、今の日本の政策が新築一辺倒ではなく、持続可能な開発を考えた時に、市場がブルーオーシャンになるという可能性は大きい。大手デベ系列も再生事業を立ち上げ、本腰の芽を入れだした。だが、まだまだ始まったばかりだし、新築するより関連メーカーが潤うような産業構造も作らねばならない。個性の強いリノベーションは大手に出来るのか?三井不動産やイニシアあたりはびっくりするような新提案を出してくれそうだけれど、他は頭が固そうだ。2018/12/06
エリナ松岡
11
空き家入門というより、空き家エッセイみたいな感じでした。前半50ページ位は特にそうだと思います。タイトル、サブタイトルをちゃんと読めば、勘のいい人なら読み取れるかもしれません、非常に前向きな空き家の本です。ここのところ空き家関連の本を立て続けに読んでいるからわかるのですが、暗い話やしみったれた話になってしまって、気が沈んでしまいます。なので、空き家に興味を持ったら手始めに本書を読んでおくといいのではないかと思います。2019/06/27
りゅう
7
卒論の資料として拝読。増加する空き家の活用例が載っている。地域で問題となっている空き家を活用することで地域活性化につなげ、マイナス面をプラス面に変える働きに面白みを感じる。2018/12/23