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内容説明
精神を中心とした「歴史」の発展を描いたヘーゲル。有名な「主」と「僕」の弁証法、承認論と共同体の議論等を通じて現代思想に与えた影響を探る。そしてラカン、ハーバマス、アーレントなど現代の思想家のヘーゲル解釈を紹介することで、哲学の根本課題・「人間」と「精神」の基礎である「理性」「自由」「市民社会」「法」「国家」などを体系づけたヘーゲルを読み解く。本書は現代を生きる我々=人間にとって必要な知性である。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ころこ
37
読者の中に何が論じられているのか全くつかめない、という感想があるのではないか。特にZ世代による歴史盲のムーブメントを真に受けると尚更である。ぼくも類書を読んで、全くつかめなかったことがある。本書は東浩紀『動物化するポストモダン』から、更にコジェーヴの引用をフックにして、ヘーゲルの人間が自由になろうとする過程としての歴史観とは別の、無縁な歴史観を体現した日本人のことを動物化と呼んだ、と現代に上手くつながっている。「そこでヘーゲルが注目するのが、個々の主体に備わった「自由」になろうとする傾向である。」これが簡2022/10/11
耳クソ
20
アドルノ(というか、やっぱスピノザ)おもしれ~。彼らだけでなく、すぐれた哲学者の仕事は世界を面白くしちゃうね。当の本人は面白くなさそうだけど。2021/08/13
さえきかずひこ
15
本書はヘーゲルの入門書ではなく、現代の哲学など(分析哲学、フランクフルト学派、ラカン派精神分析、ジェンダー論、ポストコロニアル研究ほか)においてヘーゲルのそれがいかに批判的に論じられているかを幅広くかつ掘り下げて論述している。ヘーゲルそのものの著作では主に『精神現象学』次いで『法哲学要綱』を参照することが多いので、読み進めるにはこの二書についての基本的な理解が必要だろう。また、前述した現代の哲学などについても知らないとかなりハイコンテクストな展開についていくのが困難だと思う。現代的な新書ではないので注意!2018/11/27
またの名
11
後世の思想家がヘーゲルから受けた影響を新書にしては硬派に要約して仲正節を抑え気味かと思ったら、最後にちゃんと業界からネット界隈まで罵倒してた。マルクスはもちろんヘーゲルから文章と書き手の表情や声色や身振りとのズレという非同一性の哲学的意味を学んだアドルノ、絶対知とは究極のゴールになる対象はないという発見についての知だと解釈したジジェク、テイラーやバトラーに加え、ハイチ革命との関連を論じたスーザン・バック=モースら近年の議論が目白押し。個々をもっと丁寧に取り上げても良かった感じなので、予告された続きに期待。2018/12/19
koke
6
主/僕の弁証法、承認、歴史を焦点に、現代思想の中で陰に陽に参照されるヘーゲル哲学の意義を解説する。現代思想の方に軸を置く私には「そこが知りたかった」の連続だった。ナポレオンを歩く「世界精神」だとほざく18世紀生まれの爺様がなぜアクチュアルであり続けるのか、積年の謎が解けた。2021/12/30