内容説明
戦災から復興を遂げ、明治百年を目前に沸き立つ東京。変貌していく街並みの背後に静かにたたずむ遺構や、明治・大正期の文豪ゆかりの地、作品の舞台を訪ねて在りし日の面影を浮かび上がらせた、街歩きのための絶好の案内書。昭和初期を代表する文芸評論家が描く修業時代の体験を元にした作家たちのエピソードや、市井の人々の話にはドキュメンタリーの魅力が横溢。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
70
最初の東京オリンピック直前に書かれたという本書。永遠に失われてしまった東京の街並みをとどめた貴重な作品。吉原のあたりは訪れたことがなく、散歩とはいかないけれどこの目で見てみたいと思った。佐多氏の『私の東京地図』と比較するのも面白い。2018/11/05
qoop
6
1964年のオリンピック直前、急変する東京を周りながら失われた/失われゆく歴史的風景を逍遥した一冊。共産党活動に従事しながら検挙され、獄中生活のなかで転向を余儀なくされた著者。望まない変化を強いられ/受け入れたその視点は、東京の変化に対しても過度の感傷を感じさせず、どこか乾いて見通しているようにも感じられた。感傷がわく間もないほどのスピードで変わる時期だから、ということもあるのかもしれないが。この時期の東京街歩きエッセイはもっと読んでみたい。2019/11/10
ぐんまくん。
1
明治・大正の文豪ゆかりの地などを訪ねるという作品だが、そもそも訪ねている時代が昭和30年代後半であるため、何とも不思議な感覚になる。 2021/11/13