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内容説明
太平洋戦争の対日諜報戦で、捕獲した日本軍文書の翻訳、暗号解読、捕虜の尋問、プロパガンダ活動等に携わった言語官たち。終戦後は連合国軍の一員として戦犯裁判や、GHQの占領政策実施で不可欠な役割を果たした。米国、英国、オーストラリア、カナダは、語学兵をどのように動員したか。早い時期から重要性を認識して準備した国と、終戦間際になって慌てた国の違いは何だったのか。各国の言語官養成の実際、戦地での活躍、二世たちの葛藤……。貴重な記録から、日本語諜報の実像に迫る。
目次
序章 熊本・九州学院に残された名簿
第一章 米軍における二世語学兵の活躍と苦悩
第二章 ロンドン大学と暗号解読学校
第三章 頓挫した豪軍の日本語通訳官養成計画
第四章 カナダ政府の躊躇
終章 戦争と言語
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
乱読家 護る会支持!
5
アメリカ、イギリス、オーストラリア、カナダの対日諜報戦で、日本軍文書の翻訳や捕虜への尋問、プロパガンダ活動に関わった日本語言語官の活動。 戦争慣れした海外各国は、情報収集に最大限に力を注ぎますね。しかし、今の日本には、スパイ防止法が無く、情報は取り放題。 なぜ日本が戦争に負けたのかを考えて、二度と国土を焼かれないためにどうすればいいのかを、日本人はもっと考えないといけません。2023/02/16
Танечка (たーにゃ)
4
太平洋戦争中、各国が日本語を理解する言語官をどのように確保し、育成したかについて。戦争によって兵器・技術の進化が加速するというが、各国における日本語研究・教育も戦争が契機となって一気に進んでいるのが興味深い。戦時中に言語官として従事した人物が、戦後の外国人による日本文学研究の第一人者となったことも。2018/11/11
Chunko
2
戦争という一刻の猶予も許されない極限状況の中で、各国が情報収集、分析等のため、どのように日本語要員を確保し、または育成していたかについて書かれており、非常に多くの有益な知見を得ることができた。要員毎に任務が固定されている場合、その任務に特化した言語能力を養成するようカリキュラムを絞り込む、総合的に育成したい場合には、もともと教養があり言語能力が高いものに教育を行う、ラテン語等のいわゆる「死語」知識があるものが、日本語でも高い能力を発揮したなど、どれも大変興味深く、著者の他の著書も是非読みたいと思った。2019/01/11
我門隆星
1
米軍のでもお腹いっぱいなところに英・豪・加まで揃った満腹感溢れる書。「本書で扱えなかったソ連や中国での(略)期待したい」(終章)? いや、どちらも単体で1冊になるし、ロシアに至っては大黒屋光太夫あたり→日露戦争ときて終章は現代ロシアコスプレ界における日本語といった大著になるような気が。2018/11/08
onepei
1
主題からややそれるがカナダの態度は意外だった2018/09/24