内容説明
日米開戦は、日露戦争期からすでに想定されていた―
ペリー来航以降、セオドア・ルーズベルトによるポーツマス条約仲介まで、アメリカは日本史からほぼ姿を消している。
だが、日本の明治期にあたる1858~1908年の半世紀にアメリカで起きていた出来事こそ、日米衝突を不可避なものとする要因となったのだ。
国内産業保護を基軸とするアメリカン・システムの綻び、イギリスを筆頭としたヨーロッパ諸国との領土紛争、国内の人種問題…良好な関係にあった日本を仮想敵国と見なすまでのアメリカの動きを、米側史料によって詳細に描き出して太平洋戦争の起源に迫る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まーくん
27
1858年の日米修好通商条約締結から、時は流れ、米国が日本を仮想敵国と認識、親善名目で威嚇の”白い艦隊”を派遣する1908年まで。我々の教科書ではペリー提督による黒船開国後、セオドア・ルーズベルト大統領のポーツマス条約斡旋まで、アメリカの影は妙に薄い。その間、アメリカは南北戦争を戦い、西部開拓を押し進め、ハワイを併合、フィリピンまで進出していた。日本人には馴染の薄いアメリカ史を丁寧に辿り、その視点から弱小日本が太平洋のかなたに海軍国として現れるのを見る。米国近代史に関し実に多くのことを知ることができた。2018/08/06
健
10
これは面白かった!ペリー来航から明治の終わりにかけて、米国における西部開拓、大陸横断鉄道、ハワイ併合等々の国内事情が日米関係に大きな影響を及ぼしていたことが描かれており大変興味深く読み進めることができた。米国はイギリスからその独立を勝ち取ったこともあって、実は日本に対して非常に親切だったことも発見だった。一方、そのような米国でも、少数の優れた政治家と利己的な衆愚とのせめぎ合いによって国の政策が左右されてしまったわけで、歴史の非情さを感じずにはいられない。今まで軽視していたけど、米国史侮るべからずだ。2021/05/07
日の光と暁の藍
7
日本の近現代史を主に米国の視点から振り返ろうとした本書。江戸末期から明治までの史料を駆使して描く物語である。100年以上も前の出来事をここまで鮮やかに描けるのかと驚愕した。今まで断片的にしか知らなかった歴史上の事柄を本書を読むことで繋げて理解出来る気がした。国際政治において最近特に感じるのは、あらゆる主張や学説といった類のものは、それにより利益を得たいと願う側の立場の都合により主張されているのだな、ということだ。2022/08/28
iceman
3
アメリカの歴史を通して同時代の日本の歴史を紐解くという手法で書かれており読み応えのある内容の本です。2018/09/15
haru
2
難しい2024/07/24