幸せとお金の経済学

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幸せとお金の経済学

  • ISBN:9784894517776

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内容説明

◆あなたの消費行動を変え、幸福度を上げるお金の新概念
「お金では買えない価値がある」という言葉には納得するものの、
やはりお金が欲しい、できれば贅沢な暮らしがしたい、というのが人情です。
これは決して恥ずべき感情ではなく、動物としてのヒトのDNAに刻み込まれた
ホットシステムというべきごく自然な欲求です。

しかし格差が開いた社会、中でも中間所得層においては、
本書ではこうした欲求が不幸をもたらす可能性があると警鐘を鳴らし、
次のようなお金の新概念を提唱します。

・地位財=他人との比較優位によってはじめて価値の生まれるもの。幸福の持続性[低]
(例:所得、社会的地位、教育費、車や家などの物的財)
・非地位財=他人が何を持っているかどうかとは関係なく、
 それ自体に価値があり喜びを得ることができるもの。幸福の持続性[高]
(例:休暇、愛情、健康、自由、自主性、社会への帰属意識、良質な環境など)

今まで経済学ではほとんどテーマとされなかった
この「地位財」「非地位財」という概念は、
あなたを不要な競争的消費から解放し、幸福度を上げる力があります。


◆他人と比較したとき、あなたは中流から下流へ落ちていく
本書の原題は『Falling Behind : How Rising Inequality Harms the Middle Class』。
日本語で仮題をつけるとすると「遅れをとらないように生きる中間所得層
――どのように不平等が中間所得層を害してきたのか」となります。
なかなか収入が増えない時代に生きる我々は、
このタイトルの意図を理解することなく、
幸せを手に入れることはできないのかもしれません。

◆目次
監訳者まえがき――金森重樹

Ⅰ 収入が増えない時代の幸せとお金の研究序説
幸福にのしかかる経済的圧力の正体 *序文――2013年版
無駄な消費に駆り立てる見えない因子 *序文――2007年版

Ⅱ 「普通の生活」でもどんどんお金が減っていく理由
第1章 なぜ私たちは同じ答えを選んでしまうのか?
第2章 所得の変化が映すいびつな世界
第3章 幸福の研究が明らかにしたもの
第4章 幸不幸を左右する見えざる手

Ⅲ 地位財・非地位財でわかる幸せのコスパ
第5章 私たちは身の丈以上にお金を使っているのかもしれない
第6章 ヒトをマウンティングに向かわせるホットシステム
第7章 ダーウィンの仮説で見る地位財? 非地位財?

Ⅳ 「平均以下」が私たちを幸せにする?
第8章 より過酷になり、脱落しつづける中間所得層
第9章 その正しい選択が、振り返ると愚行となる
第10章 格差から1人抜け出し、生き残る知恵

Ⅴ 今、問われている納税者としての金銭感覚
第11章 公共政策を意識すると、私たちの支出も変わる
第12章 生き残るカギは収入と支出のバランス

最後に、日本語版読者へ寄せて――ロバート・H・フランク

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

shikada

23
人間が感じる幸福は相対的なものであることを「地位財」という経済学の概念で解説する一冊。地位財とは、周囲との比較によって満足を得るもので、たとえば所得とか社会的地位とか車、家、時計といったものを指している。こういった地位財でマウンティング合戦をしていると、所得に対する支出がかさむばかりで誰も幸せになれない。だから、他人に関係なく、それ自体が価値を持つ非地位財(健康、レジャー、労働環境、自由など)に目を向けましょう、という趣旨。具体的な例や数字で示してもらって、納得の内容だった。2020/09/16

おせきはん

19
生活水準を相対的に比較してしまうことは前から感じていましたが、富裕層が消費を増やすと、中間層もそれにつられて消費を増やしているという意識はありませんでした。富裕層と中間層の所得の絶対額の差が広がっている状況で、中間層が富裕層の真似をすると、中間層が苦しくなるのは指摘の通りですね。著者は、家や車などの地位財よりも、休暇、愛情、健康、自由といった非地位財にリソースを割くことを提唱しています。もっとも、非地位財の充実度も相対的に比較できないわけではなく、いずれにしても他人と比較しないことが大切だと思いました。2019/02/01

りょうみや

12
ほぼ予想通りの内容。構成がまとまっていなくてなかなか分かり辛い。幸福を感じる要素として、持ち家の広さのように周りの人と比べて相対的に多いもの(地位財)と余暇の多さのように他人との比較であまり関係ないもの(非地位財)があるが、前者よりも後者にお金とエネルギーを注ぐのがより幸福になるコツ。なによりもあまり他人と比べないこと。2017/11/28

富士獣

9
資本主義社会で個人や全体はどう幸せになれるか。 ①人は「他者との相対的な支出の多寡」で幸福や不幸を感じることがあり、それはただの羨望嫉妬やマウンティング欲求ではなく本質的に重要。②富豪層の「幸福のハードル」が上がれば連鎖的に中流階級のそれも上がる。③中流以下の所得は伸び悩む一方で富豪層の所得は増加傾向。以上①②③より、「中流階級が幸福と感じる消費ハードルは上がっているのに所得は伸びていないため、相対的に不幸になっている」と言え、その傍証や(累進消費税などによる)解決策を提示した本。2020/03/17

読書熊

7
財は車や家のように社会的地位と連動しがちの地位財と愛や自由のようにそのものが効用をもたらす非地位財に分かれている。実用的な考え方だし、格差が増すごとに中間層の消費が駆り立てられるというのは頷ける話でした。2019/05/05

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