内容説明
「信仰というものは、生きるために必要な、日々に欠くことの出来ない、実際に役立つものでなくてはならぬ。心の平和のためにも、また身体をいわゆる肉弾となして、実生活にぶっ突かって行く時にもなくてはならない最後の『拠りどころ』でなくてはならぬ」と考える著者が、法然と親鸞の信仰について、情熱をかたむけて説いた名著。法然「一枚起請文」の奥義、歎異抄の全てを語りきった!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ホシ
20
浄土宗の教書『一枚起請文』と浄土真宗の教書『歎異抄』を語り解きながら、法然・親鸞の思想に迫った倉田百三の名著です。以前『出家とその弟子』を読んだ時、多分に基督教の影響を感じ、それ以来、倉田の信仰に疑義を持っていました。しかし、本書を読むと倉田が浄土教の思想を正確に捉えていることが知れます。私なんかでは考えも及ぼない思索的探求の末に書かれたのが『出家とその弟子』なのでしょうね。改めて宗教とは個人の問題であると強く思いました。法然・親鸞はもちろん、宗教や信仰といった事に関心がある方におすすめしたい一冊です。2018/07/29
moonanddai
7
人が悪を行うのは「業報」(私の理解としては)「仕方ない」。千人殺せと言われても殺せるものではなく、その気がなくとも百人、千人殺してしまう。そんな人間でも救ってくれる阿弥陀の「不思議」…。やはり浄土宗を考えようとすれば、法然だけではなく、親鸞までも知らなければならないようです。読みながら思ったこと、法然は「大原問答」をどう乗り切ったのだろうと…。寺門や南都による宗教裁判と言われてるが、詳細は不明…。法然自身「根気勝ち」と言ったそうだが、後々批判が出たことを考えると、この時は完全対立は避けたということか…。2022/02/27
無能なガラス屋
4
「念仏は申すのではない。『申さるる』のである。自ずから催されて申すのである。この我を失うて、受身になる所に宗教生活の秘儀があるのだ。」2024/12/17