講談社学術文庫<br> オスマン帝国の解体 文化世界と国民国家

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講談社学術文庫
オスマン帝国の解体 文化世界と国民国家

  • 著者名:鈴木董【著】
  • 価格 ¥1,045(本体¥950)
  • 講談社(2018/03発売)
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  • ISBN:9784062924931

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内容説明

民族・言語・宗教が複雑に入り組み、多様な人々を包み込む中東・バルカン。その地を数世紀の長きにわたり統治したオスマン帝国の政治的アイデンティティ、社会統合、人々の共存システムとはどのようなものだったのか。帝国の形成と繁栄、解体の実像、そして文化世界としてのイスラム世界の伝統を世界史的視点から位置づけ、現代にまでつながる民族紛争の淵源を探る。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

skunk_c

27
2000年に筑摩新書で出ていた本の再発。民族(国民)国家、イスラーム社会を丁寧に解説した上で、オスマン帝国の歴史を叙述している。キーワードは「西洋の衝撃」。西アジア~北アフリカ世界を中心に、「イスラームの衝撃」によって宗教を軸とする国家が出現、オスマン帝国は多くの民族や宗教を抱合しながら、イスラームを支配原理に据えて緩やかな支配の帝国を作った。これが主に言語を軸とする民族間の対立を上手く防いでいた。しかしそこにかつての辺境である西欧の勢力が伸張すると、その民族国家形成という「衝撃」が帝国を揺さぶる見立て。2018/09/04

ゲオルギオ・ハーン

16
オスマン・トルコ帝国の解体について著者が考察した一冊。バルカン半島での独立の動きをメインに取り上げる前に、西欧のナショナリズム、帝国の多民族多宗教統治の制度を紹介しているので構成は丁寧。ただ、バルカン半島の事情に合わせて考察をしているのでアラビア半島を結局はしっかり征服出来ず、サウジアラビアが成立していったことについては数行で済ませているうえに「あっちは民族主義とは関係ない(のであまり取り扱わない)」とテーマの消化が不十分。200頁程度でおとせる内容ではないところを挑戦したのだからやむを得ないところか。2020/09/20

さとうしん

12
第一部・第二部でネイション・テイストやイスラム世界そのものについて解説するなど、本論の前提の解説について多くの紙幅を割いている。本題は第三部となるが、これもオスマン帝国の歴史から説き起こす。多民族帝国であるハプスブルク帝国に対して、オスマン帝国が民族や言語ではなく宗教を軸とする多宗教帝国であり、多種多様な民族と言語を持つ人々がモザイク状に分布するという状況の中で「パクス・オトマニカ」が維持され、「西洋の衝撃」以後もある時期までは宗教を軸に国家統合を図ったという対比が面白い。2018/04/09

y_nagaura

8
オスマン帝国の解体は、直接的には第一次世界大戦の敗北が原因だ。しかし、「西洋の衝撃」によりもたらされたネイションステイト(国民国家)の概念によって、イスラム教による緩やかな統治が揺らぎ、現在のような紛争地域になった、というお話。カトリック国でのプロテスタントへの態度等に比べると、確かに幾分緩やかな様子。未来を考える上での示唆に富む名著。2021/09/04

スプリント

7
キリスト教世界の脅威だったオスマン帝国が緩やかに衰亡していきヨーロッパ世界の喰い物にされていく過程がよくわかりました。2018/06/09

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