内容説明
驚異の能力で千キロ超の距離を飛び帰巣するハト。
神の遣いから一変、ある時代から嫌われ者になってしまったカラス。
二千年も人と暮らし、その関係が濃すぎる故に数を減らしつつあるスズメ。
遥かな昔から私たちの傍には鳥の姿があった。
現代、東京の空にはインド・スリランカ産の鮮やかな緑色のインコが飛び、
いずれ「日本の鳥」となるといわれる。
鳥たちの歴史は長くその世界は驚くほど広い。
身近に見られる35種の鳥たちの意外な歴史とたくましい生き方を紹介する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やすらぎ🍀
181
身近な鳥35種。名前の由来や特徴、人間との関わり合いなどの雑学本。冬鳥が去り夏鳥が舞う。この地の留鳥は何を見つめているのだろう。私たちも一緒に自由な空を飛べたらいいのにね。いつもここにいるね。そちらこそ。毎朝、近づいてくる囀りに挨拶を交わす。伝わっているといいな。これくらいの距離感がお互いにとっての安心。近づきすぎると切なくなるから。そろそろ何処か遠くへ飛び立ってしまうのだから。それが明日なのかもしれないけど、また逢えるから。夕暮れに別れの音が響いている。空高く、旋回するその姿に私たちは憧れを抱いている。2023/04/29
yukision
74
身近な鳥,というタイトル通り,散歩中に見かける鳥たちの生態や,人々との関わりについて書かれた本。様々な野鳥が万葉集をはじめとした歌集に残り,平安貴族のペットだったヒヨドリ,くちばしで紐の先の餌を手繰り寄せる高度な能力を持つヤマガラを飼い慣らした江戸時代の人々,遠方との連絡に使われたドバトは人間の歴史にも関わった。人間のそばで生きることを選んだ結果,減少し続けるスズメも,変わらず命を繋いでほしい。それにしても,キツツキの舌の収納は衝撃。2022/05/04
ホークス
54
2018年刊。カラスやサギなど身近な鳥を5〜10ページで解説。分類・生態に加えて歴史や文化にまつわる話が面白い。鳩レースは古くは鎌倉時代に「鳩合」(はとあわせ)と称して行われた。ローマ帝国では重要な通信手段で、人が鳩に頼らなくなったのはここ半世紀の事。江戸時代の鳥飼いブームは大名から町人農民に及び、多くの文化を生んだ。万葉集にも鳥の歌は多い。一方で、スズメとツバメの減少を止めるのは難しそうだし、かつて各地で見られたツルは、明治以降に乱獲されて復元は難しい。鳥たちは、人と自然の関わりを見直す指標でもある。2021/02/21
booklight
45
2章まで。身近な鳥の雑学まとめ。知っていることも知らないことも色々。生態から語源や人との関わり合いまで、広く丁寧に描かれている。ドバトについても、バビロニアの時代から伝書鳩として使われて、自分の現在地を理解する能力に特に優れているということを知った。近年、スズメは減っているがムクドリは増えている。日本の留鳥のなかで一番大きな群れを作る。人をあまり恐れなくなり、自分の子でなくても群れで育てちゃうみたいな大らかさも増えてきた原因か。ヒヨドリはかつて(平安時代)は人気の飼い鳥。鶯も人気で、街の名前にもなる。2023/06/25
コーデ21
27
<身近に見られる35種の鳥たちの意外な歴史とたくましい生き方を紹介> 読みやすくウンチクも盛りだくさんで一気に読了! 比較的馴染みの鳥ばかりなのに生態や歴史など知らないことばかりで、とても楽しく読めました。学術的な情報のなかにトリビア的な話もバランスよく盛り込まれているので、野鳥入門書として最適かも。鶯谷の地名の由来や「小鳥を食べる文化」など印象深い記述も多し。ただ写真が小さくてモノクロなのが、ちょっと残念~^^2021/09/10