内容説明
『下流老人』の執筆を通じて見えてきたのは、「若者の貧困と高齢者の貧困は密接につながっている」ということだ。若者たちへの支援が十分でないと、彼らが年齢を重ねて高齢者になったときの生活状況が、悲惨なものになってしまう。すべての人がいずれ老人になり、体が不自由になり、年金や生活保護を活用することになる時期がやってくる。高齢者の問題は、若年層、中年層の明日の問題であり、生活の根幹にかかわる問題といえるだろう。今ここで対策を打たなければ、「一億総下流社会」が到来することは目に見えている。本書では、子どもから老人まで、あらゆる世代の貧困事例を紹介。さらに、生活保護をはじめ、貧困状態にある人が申請し受給可能な社会保障制度を挙げるとともに、貧困状態から抜け出すための具体的な解決策を紹介する。毎日新聞「経済プレミア」の連載に大幅加筆。日本の貧困問題のすべてが分かる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kinkin
81
若者、中年、女性、老人それぞれに貧困がはびこっている。その貧困について事例とともに実態を書いている。高度成長期、自分の夢や目標を叶えるために辛抱して頑張ればなんとかなるとは言えないまでも近づくことはできたのではないかと思う。それが頑張るだけではどうにもならない社会になっている日本。一部の富裕層と明らかに対局にある貧困層がはっきり別れてきている。貧困ニッポンを生きるという第5章は知るだけでも安心できる知識編が載っておりこれは様々な社会保障制度があることを知ることが出来た。図書館本2018/04/02
おさむ
45
若者、中年、女性、高齢者。1億総中流社会が終わった日本の厳しい貧困の実像を鋭く炙り出している。暗〜い気持ちになるが、これがまぎれもない現実なのだろう。一方で日本の国家財政は破綻寸前でもある。なかなか解が見えてこないのが一番辛い。2017/08/04
ヒデミン@もも
43
大学の図書館。貧困に関する本は何冊も読んだ。『下流老人』の著者。基本的なことがよくわかる読みやすい新書。ただやはりモヤモヤとする自分がいる。このモヤモヤ、どうしたら解消できるかな。来月、大学で著者の講座があるらしい。2017/10/18
さきん
32
世代ごとの貧困を分析するという構成が良かった。6分の1が就学もままならない10代以下、奨学金という名の借金抱える20代。非正規、フリーターにあえぐ30代、40代。身の振り方を間違えるとどうしようもない50代。年金だけではやっていけない高齢者。所得の向上とお金では補えない人とのつながり、助け合い、を地道にやっていくしかないなと読んで感じた。2017/06/04
団塊シニア
24
若者、中年、女性、老人とそれぞれの貧困について書かれてる、作者の文章は非常にわかりやすく特に老人の貧困については高齢者として興味深く読んだ。2018/12/27