内容説明
「ないものがある」 ―詩人にとっての虚構とは何か。マラルメの詩をひもときながら、詩人が〈詩人〉となる瞬間と、〈虚構〉が生まれ出る場に立ち会う。芸術に計り知れない影響を与えつづけるフランス近代詩の巨人が、〈理念〉の追求の末に到達した詩境とは何だったのか。新たに訳した14の詩作品の全文を注意深く読み込むことで、諧謔と皮肉に覆われた「虚構」の森へと分け入り、詩人の「思考」に肉薄する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ラウリスタ~
14
マラルメ本なのに、非常に読みやすく書かれている本。さらっと読めるので、マラルメという詩人の漠然として印象をつかむのにもってこいかもしれない。専門書では当然すぎて今更書かないようなことも一般の読者向けに書いてくれているので助かる。2014/10/21
sin64
1
初めてマラルメについて読んでみた。難解と言われるマラルメの詩をその生涯を骨としながら読み解こうとした本。表面的に現れてこない、いや理解できないだけかもしれない、その詩の示すものを推理していくような語り口が読みやすいと思う。虚構に解き放たれては現実に引き戻されるその様は、あたかもマラルメの詩にも似て。2014/09/10