ちくま学芸文庫<br> 内的時間意識の現象学

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ちくま学芸文庫
内的時間意識の現象学

  • ISBN:9784480097682

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内容説明

現代哲学、思想、そして科学にも大きな影響を及ぼしている名著の新訳。フッサールの現象学はなによりも学問の基礎づけを目指すが、その際「いちばん根底に横たわる」問題が時間である。時間は一瞬で流れ去るのに、多くのものはなぜ持続的に「存在する」ということが可能なのか。フッサールは、「客観的時間」というものへの信憑を括弧に入れて、それが意識のなかでどのように構成されるのかを解明する。そして、時間を構成する意識それ自体が時間のなかに現れてくるという根本的な事態に光を当て、「意識の壮大な生体解剖」を行う。詳密な訳註と解説を付し、初心者の理解を助ける。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

絹恵

29
自身だけが自身を作るのなら、闇夜に囚われた人も、夜明けを行く人も、今ここにはいない人。しかし現在という概念が存在出来るのもまた過去と未来を知っているからだった。彼がマドレーヌを紅茶に浸しても昔仕込んだ祭りにはもう興味がないのは、いつだって時間区間の限界点で彼自身という答えを待っているから。(PSYCHO-PASS気まぐれな犯罪者たちより槙島"フッサールとメルロ=ポンティの中間地点")2017/10/31

しゅん

14
竹田青嗣『意味とエロス』がめちゃ面白かったので、ひょっとしたら現象学の大本にも入り込めるか?と思い立ったが甘かったですね。師匠格であるブレンターノの乗り越えとして「時間形式」と「時間内容」を分ける、ということはわかる。ロヴェッリ『時間は存在しない』の主張に最近囚われているのだけど、本書は客観的実体を否定する発想から(物理実験なしに)無時間性に行きついた先達なのだと思う。メロディを聴く状態を分析しているから、一つの音楽原理論としても読める。それにしても、世界が無時間なら、音楽はいつどこで発生するのだろう。2021/11/28

鏡裕之

6
訳者の言葉を引用すれば、「時間意識のなかには何が含まれているか、そして、そこからいかにして客観的な時間が構成されてくるか、を明らかに」した一冊。サルトルもデリダもレヴィナスも、本書に言及している。訳者曰く、「フッサールを批判し、新たな独自の現象学を展開するためにも、本書は、基礎文献あるいは必須文献だったのである」。その重要な一冊を、できるだけ初心者にもわかりやすいように訳した力作。訳者に乾杯。面倒だが、注にしっかり目を通しながら通読してほしい。解説にも是非目を通してほしい。2016/12/17

∃.狂茶党

4
翻訳者の多大な労力によって、読み通せるか疑問を覚えるほど難物も、どうにか、おおよその把握はできたように思う。 しかし、理解するには、そのほかのフッサールの著作を中心に、現象学関係の、あれこれを読む必要があるだろう。 本書を理解したとはいえないのですが、ここに描かれた、時間感覚だか認識の成立過程は、統合失調症や幻覚全般、 とりわけ、サイケデリクスによって報告されているものを、うまく説明するように思います。本来、「今」に現れないはずの沢山の重なりが、混乱した主観的な時間を生成するのだと思います。 2021/07/08

ぽん教授(非実在系)

3
認識の基礎を今その瞬間に寄らせすぎてしまうのがフッサールの基本スタンスだが、それだとメロディのような流れのある事象とバッティングをしてしまう……のでいろいろ長々と考えてみたというスタンスである。基本スタンスを修正した方が圧倒的に速い気がしてならない。2019/08/08

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