- ホーム
- > 電子書籍
- > 教養文庫・新書・選書
内容説明
日ごろ意識することは少なくとも、初詣や秋祭り、七五三のお宮参りと、私たちの日常に神社は寄りそっている。我々にとって、神とは、そして日本とはなにか? 民俗調査の成果をふまえ、ごくふつうの村や町の一画に祭られる「氏神」や「鎮守」をキーワードに、つねに人びとの生活とともにあった土地や氏と不可分の神々や祭礼を精緻に探究。日本人の神観念や信心のかたちとしての神や神社の姿と変容のさまを、いきいきと描き出す。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
60
神社の変遷を論じた一冊。初めに氏神や鎮守の成り立ちを文献から解き明かし、次いで個々の神社の祭り等の主体の変遷を紐解いている。最後は柳田、折口の神社論で締められているけど、ここは民俗学を齧った者には既知かな。やはり読み応えがあるのは個々の神社を扱った部分。氏子の主体が氏族から地元の住民に移り変わる過程を描いた隅田八幡宮や毛利吉川といった戦国大名がその信仰に絡んだ安芸の神社、郷村や地元の宮座が営む神社等、歴史的地理的要因によってそれを営む主体の変化が実に面白い。近代の画一化された神道には見られない視点だなあ。2025/04/18
獺祭魚の食客@鯨鯢
57
古来列島の民は大陸から「渡来」物は積極的に採り入れ「習合」させてしまう貪欲さがあります。 天津神と国津神とで分けて考えると、天孫降臨した渡来系の神と出雲を中心とする固有の神とになりました。それぞれ鎮守の神と氏神とになるでしょうか。(個人的見解) 服(まつろ)わぬ有力者は「鬼」と呼ばれ成敗されました。不本意ながら死んだ旧領主たちの怨恨を邪気祓いをする神とされ、鎮守の神は王化の末に従えた領地を外敵から守る橋頭堡でもありました。
tama
12
図書館本 書架で チコちゃんちによく来ているひげの先生だから分かり易いはずと思ったがそうでもなく、何より私の勘違いで知りたい内容とは違った。私にとって山神とは宮沢賢治の「狼森と笊森、盗森」同様、新来者が住みつく場所に古くからいた何者かで意思疎通ができる。更にその後そこで亡くなった新来者の肉親が低い裏山に葬られて加わったのが氏神、そして遠くに聳える白いお山は田植えや田起こしの時期を知らせる大歳神。新来者は山神達に断りを入れて土地を貸してもらう。鎮守は余所者を従わせるのが第一目的。2022/03/29
六点
9
日本人の精神に深く根付いた神社が氏神から共同体の鎮守様に変遷して行った流れを歴史民俗学によって読みといているのだが、「特定の家の氏神」と「共同体の鎮守様」が21世紀になっても併存しているって、まるでミルクレープのように幾重にも重なった歴史の断面を見るが如くでありますなあ。2017/04/30
さとまる
7
特定の地域の特定の神社の変遷から帰納的に神社の変遷について論じていて、全体としてどうなのかという視点に欠けている印象を抱いた。終章の柳田と折口の神社・神道観念の整理は良かった。2024/01/07




