講談社学術文庫<br> 興亡の世界史 スキタイと匈奴 遊牧の文明

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講談社学術文庫
興亡の世界史 スキタイと匈奴 遊牧の文明

  • 著者名:林俊雄【著】
  • 価格 ¥1,375(本体¥1,250)
  • 講談社(2017/01発売)
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  • ISBN:9784062923903

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内容説明

定住農耕社会にとって、隣接する遊牧国家は常に脅威だった。ペルシア帝国をもってしても征服できなかった部族集団スキタイ。漢帝国と対等に闘った匈奴。こうした騎馬遊牧民はいつ頃誕生し、強大な力を握ったのか。「都市」のない遊牧社会を「野蛮」とみなすのは、定住農耕社会からの決めつけにすぎない。ソ連崩壊後のユーラシア草原地帯の発掘調査で次々と発見されている考古学資料を活かし、「もうひとつの文明」の実像に迫る。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

優希

102
興亡の世界史シリーズを着々と読んでいますが、この巻は何故か抜け落ちていたようです。メインとなるのは考古学と遊牧民族の多様性といったところでしょうか。紀元前7世紀に現れたスキタイ、紀元前3世紀末に興った匈奴。これらの共通点を考察していくのが興味深かったです。その後現れたフン族は遊牧民族として独自の文明を作り出したのかも注目すべきところでした。考古学から遊牧民の文明の謎まで幅広い視点で語られる歴史が面白かったです。2017/02/08

松本直哉

23
前9世紀の中央アジアの古墳の出土品から復元された女性の頭飾り diadème(その高く盛ったデザインはたぶん、もともとは弓矢の誤射から身を守るためのものだろう)が、現代のこの地の民族衣装と似ているのに驚く。文字や歴史を持たなくても、時間を超えて伝承されたものに、まぎれもなく高度な文明が息づいている。地理的にも、東の匈奴と西のスキタイの工芸品の意匠を比べるだけで、その広大さがうかがえる。ヘロドトスや司馬遷とは逆の視点から見た中央アジアの文明は、生活そのものが豪宕な祭儀であるかのように光り輝いて見える。2022/03/23

かんがく

18
騎馬遊牧民であるスキタイと匈奴について。彼らは文字を持たないため、考古学とヘロドトス、司馬遷による外から見た史料が中心になる。考古学分野についてはあまり興味がなく読み飛ばしたが、遊牧民の国家形成や農耕、外交などについての記述もあり、遊牧民のイメージが深まった。ヨーロッパと中国の間にあって、両方へ脅威を与えた遊牧民については、もっと学ぶ必要がある。ソ連、中国、モンゴル、トルコと遊牧民に関連する国の研究者がことごとく民族主義的な影響を受けているというのも面白い。2019/10/24

みのくま

12
ヘロドトスは「歴史」でスキタイを、司馬遷は「史記」で匈奴を、ある一定の理解を示しながら著述した。確かに彼ら以降の歴史家の非定住民に対する侮蔑感情は著しく、それは現代まで続いているといえよう。ただヘロドトスや司馬遷も同様の限界を抱えており、彼らのバイアスを考慮に入れながら勉強するしかない。そういった状況を踏まえ、考古学ならば純粋に古代遊牧民の実像を暴いてくれると期待したが、それもどうやら難しい。遊牧民の本拠である中央ユーラシアは政治的に錯綜している地域であり、考古学でさえ政治問題と無関係ではいられないからだ2021/05/10

10
考古学的な内容が多いスキタイはやや退屈だったが、匈奴や終盤のフン族は面白かった。アッシリア・バビロニア・アケメネス朝辺りがスキタイに関しての記録をもっと残しておいてくれたら良かったのだが…。2018/01/21

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