文春e-book<br> 孤独な祝祭 佐々木忠次 バレエとオペラで世界と闘った日本人

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文春e-book
孤独な祝祭 佐々木忠次 バレエとオペラで世界と闘った日本人

  • 著者名:追分日出子
  • 価格 ¥1,629(本体¥1,481)
  • 文藝春秋(2016/11発売)
  • GW前半スタート!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~4/29)
  • ポイント 420pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784163905501

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内容説明

「諦めるな、逃げるな、媚びるな」
──こんな日本人がいた──

16年間にわたる執念の交渉の末、誰もが「不可能」と口を揃えたミラノ・スカラ座の引越し公演を日本で初めて実現。ドミンゴ×クライバー「オテロ」の幕が日本で開いた。
また鬼才モーリス・ベジャールに不朽の名作「ザ・カブキ」をつくらせ、世界各国の名門オペラハウスに自らのバレエ団「東京バレエ団」を率いて乗り込み、20年間外部の団体の公演を許可してこなかった、世界中のダンサーが憧れるバレエの聖地、パリ・オペラ座をも制覇。

誰もが不可能と信じていたことを、執念の交渉で次々現実にしてきたタフネゴシエーターは、2016年4月30日、ひっそりとこの世を去った。
その名は佐々木忠次。
世間一般での知名度はそれほど高くないが、オペラやバレエのファンの間では「ササチュー」の愛称で親しまれていた男である。

敗戦国の島国から来たおかしな東洋人と冷たい視線を浴び、日本の官僚の無理解に苦しみながら、各界の大物と一歩もひかずに徒手空拳で直談判してきた佐々木だが、「美」と「本物」への激しい渇望は、同時に己を焼く業火となった。過剰な情熱が巻き起こす周囲との軋轢、美意識をめぐる衝突、盟友との訣別……。劇場に生きた男の孤独な闘い。その誰も知ることのなかった舞台裏が、徹底取材により、今、明らかになる。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

たまきら

35
美にひれ伏し、すべてを捧げた人の人生を追った伝記です。先日この本を元にした漫画を先に読んだのですが、いや~こちらはさらに多くのエピソードが入っていて面白かったです。ボレロの男性バックダンサーたちの衣装が上半身裸になった理由に三宅一生さんの存在があったとは知りませんでした。日本は今も芸術への支援は皆無と言っていい国で、アーティストたちは自腹で勉強し公演を開き、コレオグラファーは独学に近い。…走り続けた人生の中、後継者や国内教育現場の育成への余力はなかったんでしょうけど、残念です。2022/04/08

shushu

6
東京でオペラ・バレエを観る人なら知らない人はいないであろうササチューこと佐々木忠次の一生。今年のバレエフェスのガラが「ササキガラ」として行われたように、日本で海外のバレエが楽しめるのもこの人の尋常ならぬパワーのおかげである。それは、関わりのあったオペラ演出家の栗山昌良の言う通り「僕らは一番いい時代を生きたと思いますよ」でもある。もうクライバーもギエムもいないし。日本の経済力も相対的に長期低落している。2018/09/30

trazom

5
日本のバレエやオペラを語る時、佐々木忠次さんを避けることはできない。東京バレエ団の育成、ミラノ・スカラ座の引越公演など、日本の音楽史に残る数々の出来事が、佐々木忠次という一人の人物の汗と情熱によって実現した。確かに毀誉褒貶の激しい人物であったようだが、それは、愛情や優しさの裏返しでもある。佐々木さんこそ、正真正銘のインプレサリオである。日本のディアギレフだ。そんな佐々木忠次さんの業績を、こうして世に知らせる見事な評伝を、没後半年にして上梓された追分日出子さんの筆力にも、拍手を惜しまない。いい本だ。2016/12/27

Hisatomi Maria Gratia Yuki

5
日本にいてバレエやオペラを楽しめる生活が、佐々木さんの偉業のおかげとよくわかった。年表から見たら順風満帆なような東京バレエ団の歩みも、裏ではまさに白鳥が水面下では必死に水掻きするかのようなやりくりで成り立っていたことも。途中からは、これだけの美へのこだわりの人である佐々木さん、そのこだわりとは対極の病院で亡くなっていたらかわいそう、と思ったが、誰かに看取られることはなかったけれど、こだわりの自宅で亡くなったと知ってホッとした。今度、東京バレエ団が『オネーギン』をやるとなったら、きっと観に行こうと思う。2017/10/01

ジャンズ

4
戦後日本にまだオペラ、バレエが浸透していない時にロシア、ヨーロッパを駆けずり回り、不可能を可能にした。すべての役者と舞台を日本で公演する引越し公演の気の遠くなるような準備。「皆の喜ぶ顔を見たい」。これが彼のすべての原動力になっていたのだと思う。官僚、大使館の無理解な対応....。新国立劇場の建設にあたっての舞台裏など政治的なものを知ることができた。目黒の新社屋で彼が集めた豪華絢爛な調度品と共に「東京バレエ団」の公演を是非見てみたい。2017/04/08

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