日本経済新聞出版<br> 乱流 米中日安全保障三国志

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日本経済新聞出版
乱流 米中日安全保障三国志

  • 著者名:秋田浩之【著】
  • 価格 ¥2,420(本体¥2,200)
  • 日経BP(2016/09発売)
  • ポイント 22pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784532169961

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内容説明

米国にとって、台頭する中国にどう向き合い、安定した関係を保っていくのかは、未経験の難題だ。旧ソ連とは違い中国は軍事ではライバルだが、経済では欠かせない協力相手だからだ。米ソの角逐は、経済力でまさり、民主主義を重んじる米国の勝利に終わった。では、米中の攻防はどんな結末に向かうのか。それが日本の将来に意味するものは何か。
かつては、米国の政権交代に伴い最初は敵対、後半は融和というサイクルが見られた。しかし中国の存在感が大きくなった結果、中国が引き下がらなければ、米国はかつてソ連を崩壊させたのと同様に、軍拡競争に巻き込む決意。その証拠に中国が最も手薄な潜水艦網をアジアに展開し、中国を刺激する計画を明らかにしている。
一方、中国は冷静な大戦略に基づいて新たなリーダー国家をめざし動いているという中国覇権陰謀論が盛んだが、習近平訪印の際に軍の現場が暴走し一触即発の事態を招くなど、ガバナンスが働いていないことを露呈している。
このような様々な思惑が絡んだ米中関係を前提として日本はどのようなシナリオを構築すべきなのか。嫌韓論、嫌中論の本ばかり賑やかななか、本書は冷静に米中の駆け引きを明らかにする。日本に迫られる4つの選択肢を提示し、米中の思惑についての筆者の仮説を、日本では詳細に報じられていないエピソードで補強して解説する。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

James Hayashi

27
日経論説委員、16年著。マニフェストデスティニーの米国の前に立ちはだかった日本は太平洋戦争で敗れ、今中国が米国と対峙。両国は国連安保理の常任理事国であり拒否権を持ち、ソ連という共通の敵も存在した故、水面下での協調も見られたという。しかし経済的成長が大きい中国は建国100年に向け覇権を目指し、米国との対立が目立つ。この両国の狭間で苦虫を噛み潰すような立場の日本。核保有、軍事費増大の自主防衛、日中協商など幾つかの提案も見られる。作中では触れられていないが、アジア諸国での中国包囲網を築くのも一つの未来かと思うが2020/03/23

はるわか

22
硬い甲羅をまとい強気に振る舞っている中国もたくさんの「内患」を抱え苦悩している。だからよけいにその行動は予測しづらい。親中と親米、中間派に分裂してゆくアジア。絵空事でない日本見捨て論。ひとごとではない「台湾放棄論」。究極のリスク、米中の日本外し。現場の統制や教育が十分に行き渡らないまま、図体がどんどんふくれ上がっている中国軍。末端が米軍にも挑発。巨体が勝手に指先を動かすリスク。2016/11/27

BLACK無糖好き

9
ここ数年の米中外交の裏側や南シナ海、東シナ海を巡る水面下の攻防を双方の政府高官・当局者らの証言から炙り出し、将来の東アジア情勢を予測して日本の進む道を提言している。本書は米大統領選挙の前に刊行されているが、今後のアジア太平洋秩序はクリントン、トランプどちらが大統領になっても大きな変化がない事を著者が明確に示している点が特長。何れにしても日米同盟をどのように維持していくか課題は多い。読後感は正直重い。◆中国にアメリカの衛星が攻撃された場合の危険性にはゾッとした。 2016/11/25

Roy

5
米中日の安全保障に関する状況を鋭く分析している。アメリカ国内の状況から、これまでの日米同盟にかかる負担をアメリカが受け入れる可能性が低くなっていること、日本が軍事予算の積み増しを含む相応の努力をすることがなければ、将来的にアメリカが東アジアの安保から距離をおく可能性なども指摘している。対中国という観点からみたときに、日本が軍拡競争をして張り合える可能性は低い。著者はアメリカとの同盟継続が現実的な選択肢であり、かつ自主防衛や日中協商が必要になる状況に備える必要があるという。非常に興味深い指摘である。2020/01/09

trazom

4
米中日三国の首脳同士の駆け引きが、首脳会談の裏話を交えて赤裸々に描かれたスリリングなドキュメントである。習近平との会談で、オバマ大統領が、西太平洋での治安の確保に懸念を持ったことを知る。また「南シナ海は、中国にとっての「満州事変」になりかねない」という文章にハッとさせられる。1945年9月の降伏文書調印式の時、マッカーサーは、「ペリーのように再び日本を開国してみせる」との決意を示すため、ペリーと同じ場所にミズーリ号を停泊させ、当時の国旗を掲げさせた。「外交」とはここまで徹底したものかと、思い知らされる。2016/11/05

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