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内容説明
長い療養が必要な病気にかかったとして、安静に過ごせる居場所はあるだろうか。「病院から地域へ」という掛け声のもと、地域包括ケアシステム、在宅医療が推奨されているが、その内実は患者をないがしろにするものが多い。そういった環境で、私たちは安心して長生きし、死を迎えることができるのだろうか。在宅医療・介護や看取りの身近な現場から認知症医療、そして地域、自治体、国へと枠を広げながら、日本の医療の問題点とそこに残された可能性を探る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うさうさ
28
高齢者の医療や介護問題について、ネガティブな話だけではなく、知恵と努力で明るい取り組みをしている事例などを取材している。でも例えば在宅医療は、死にゆく者にとっても、それを看取る者にとっても本当にいい制度なのかな。介護する者は誰なのか?独居の者はどうするのか?読みながら色々考えると、やっぱり寿命が70歳ぐらいの時代に戻るしかないなと思った。2017/01/26
しんすけ
16
一人暮らしの身は気楽だが、体力がいつまで維持できるかと思うと不安になることも多い。 近くに大きな病院はあるが、親身に診てくれる医者は皆無だ。 患者を診るというよりパソコンを観ている医者ばかりだ。 収入が昨年から減ってしまい高額な診療や薬が負担になっている。75歳になれば負担額が減ると思っていたが、政府の政策変更によってそれも期待できない。 セーフティーネットが機能していないことに「生活保護がある」と云う糞が居る日本では仕方ないのだろうか。 日本の高齢者の大半は上記の不安を抱えて、少ない余命を送っている。2021/01/30
skunk_c
15
ジャーナリストによる、丹念な取材に基づいた在宅医療・認知症介護などの現実についてのルポ。タイトルほどネガティヴな印象は少なく、むしろ副題の方が本書の内容をよく表している。先進的な取り組みをしている医療機関や医者、介護福祉施設の例がいくつも紹介されており、こんなやり方はいいなと思う部分が多々あった。一方団塊の世代が後期高齢者と言われる75才を超えていく2025年問題については、真剣に考える必要あり。政府の高齢者地方移住などの、現実人々の生活を全く配慮しない方針に対する批判はもっと掘り下げて欲しかった。2016/11/22
おせきはん
11
高齢者の医療・介護に認知症が絡むと難しい判断が増えていく現場の状況がわかりました。医療・介護を必要とする人に、きめ細かな対応ができると事態は改善するのでしょうが、必要とする人が増えている中、担い手の確保、支出を抑制しながらサービスを充実させる仕組みについて、団塊の世代が75歳以上となる2025年までに、真剣に再検討する必要があると思いました。2017/04/26
は
10
山岡淳一郎さんの「長生きしても報われない社会:在宅医療・介護の真実」を読み終えました。医療や介護の光と闇が紹介されています。でも、光2割闇8割になります。厳しい現実が突きつけられています。医療は、教育と似たものであると思っていて、いわゆる、やりがい職であるべきだと思っています。患者を見放したり、雑な診察や高すぎる薬代など、あってはならないことが紹介されていました。ただ、高齢化による患者数の増加や医療、介護の人手不足など、医療を見直すために必要な課題がたくさんあるというのが現状だなと感じました。2020/12/28