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内容説明
人の上に立つ者が心得ておくべきこととは何か? 今の言葉で言えば、「リーダーシップとは何か?」と言うことになるのだろう。しかし「リーダーの条件」は、経済環境や組織の大小などで異なるため、どこにも共通するような決定打はなかなか見出せないでいるようだ。その証拠に、ビジネス誌では、戦国武将・明治の元勲・中国古典の英雄などに、その回答を求める企画をよく立てる。本書では、肥前平戸藩藩主・松浦静山が纏めた文献集『甲子夜話』に収められている、上州安中の藩主・板倉勝尚と幕府大学頭・林述斎とのあいだで書簡によって、学問や政治に関して問答をした『水雲問答』と、備前藩の改革に実績をあげた熊沢蕃山の語録集『集義和書』を解説しながら、指導者の心得を説いた、実践的なリーダー論である。時代は変ろうとも、人間の本質が変らなければ、その人間の集合体である組織を有機的に動かす要諦も変らぬはず。鋭い洞察による安岡版リーダー論。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
耳目之学(不定期更新中)
5
現代活学講話シリーズ全7巻、最後の一冊。心に響いた箇所は「(p150)努力して実行しなければ結局は空論であり、あるいは感傷、センチメンタリズムである。イデオロギーとかセンチメントになってしまうのでは何事も生まれない。」である。東北での地震と原発事故により日本は存亡の危機に瀕している。このことについて偉そうなことを言う前に、まず自分に何ができるか、何をすべきか直視して行動すべきであると思う。私の場合は一刻も早く就職して経済的に独立するべきなのであろう。私も「一灯照隅万灯照国」にならなければならない。2011/06/16
大先生
4
前半の「水雲問答」(安中藩主の板倉勝尚・幕府大学頭の林述斎の問答集)は、「貞観政要」の日本版ともいえる為政書。後半は熊沢蕃山語録。いろいろ書いてありますが、指導者・リーダーは、「徳」と「才」の両方が必要ってことですね。そして、義の大なる事を「胆識」をもって実行・断行していくことが必要だと。早くそういうリーダーが現れてほしいものです。ところで、「社稷」(=国家とか社会という意味)って、「社」=土地の神様、「稷」=食物・五穀の神様を合わせたものだったんですね。安岡正篤先生の本は、いつも勉強になります。2020/06/18
Yuma Usui
2
水雲問答と集義和書についての安岡正篤氏による解説。どちらも興味深いが、解説を終えた後の「日本精神」の章は短いながらも読み応えがある。「活学の一番の近道は、活人に学ぶことです。」の言葉には、横井小楠や藤田東湖、春日潜庵ら維新の活人たちが何を思いどう生きたのか、21世紀を生きる私達も大いに学ぶ意義がある事を示していると感じた。2016/11/20
マコ太郎
2
今年の四月から組織の管理者となり、悩み抜いている時に出会った一冊です。毎日少しづつ読み解くと心と身体にしみてきます。一生ものの一冊です。2014/09/13
NN100
1
後藤新平氏の本で引用されていた「熊沢蕃山」を知るために購入。前半の「水雲問答」は難しすぎるし、思い切り男尊女卑でやり過ごす。お目当ての熊沢蕃山は、短いながらも魅力的。もう少し知りたいと思うけど、これ以上の深堀は読解力がないのでここまで。2020/08/02